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<道の駅進化形>(5)あつかしの郷(福島県国見町)泊まって満喫 復興拠点

地元産木材を使った客室は、温かみのある雰囲気で宿泊客を迎える
1階のカフェで提供される朝食の洋定食

 道の駅は平成生まれだ。平成5(1993)年の制度創設以来、市町村の申請に基づく国土交通省の登録数は増え続け、昨年11月で全国1134駅、東北160駅に上る(未開業を含む)。ドライブなどの休憩先としてだけでなく、地域とともに進化を続ける道の駅。新たな可能性を予感させる東北の事例の一端を紹介する。

<唯一の宿泊施設>
 室内はツインだけになかなか広い。よく利用する格安ビジネスホテルとは雰囲気が違う。木材を生かした和風っぽさに温かみがある。
 バス、トイレは別。お湯を張って実際に入ると、全身を伸ばしてくつろげる。その後は一晩ぐっすり。たまたまの大雪で、屋外が一面の銀世界となった翌朝の目覚めは申し分なかった。
 福島県国見町の国道4号沿い。「あつかしの郷(さと)」は昨年5月オープンした。県内で初めて宿泊施設を備えた道の駅。客室は2階に全4室。全てツインで収納式ベッドもあり1部屋に最大4人が泊まれる。
 町内にホテルや旅館は全くない。道の駅が町内唯一の宿泊施設だ。総支配人の引地真さん(58)は「少しでも長く町内に滞在し、国見の魅力を深く知ってもらいたい」と期待する。
 東日本大震災後の2013年、町は東京電力福島第1原発事故の風評払拭(ふっしょく)に向け、首都圏の50〜60代女性を対象に町内ツアーを企画したが、宿泊場所は福島市内にせざるを得なかった。「通過型から滞在型へ」。町が進めたのが、泊まれる道の駅構想だ。

<ツアーを構想中>
 町は道の駅を「復興のシンボル」と位置付ける。収穫期の直売所には、モモやリンゴなどが並ぶ。原発事故後に一時は半値まで落ち込んだ特産品の魅力と安全性をアピールする。
 開業から間もなく9カ月。宿泊施設の稼働率は7〜8割ほど。赤字予想を覆して黒字を確保できそうだ。
 ビジネス利用などが目立ち、観光客をどう増やすかが課題だ。運営を担う「国見まちづくり株式会社」は道の駅を拠点にするツアーを構想中。関係者は「農業体験も盛り込み、国見ファンを増やす」と意気込む。
 ちなみに宿泊は1階カフェの朝食付き。洋定食を選ぶと、スクランブルエッグやフライ、パン、サラダ、ヨーグルト、コーヒーなどで食べ応えがあった。
 カフェには70代とおぼしき近所の男性がいた。散歩途中によく立ち寄るという。「顔見知りが働いているので話もできる。ここは憩いの場だよ」。地元の方の優しい人柄に触れ、いい一日になりそうな気がした。

[メモ]JR東北線藤田駅、福島県国見町役場に近い。施設名は近くの古戦場だった国史跡「阿津賀志山(あつかしやま)防塁」にちなむ。宿泊は1室最大4人、1日4組限定。1室2人利用で1人6800円(朝食付き)。直売所は午前9時〜午後5時半、カフェは午前7時〜午後5時、レストランは午前11時〜午後3時。子どもが遊べるスペース、広間などもある。連絡先は道の駅024(585)2132。


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2018年01月30日火曜日


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