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<強制不妊手術>障害者差別 清算が必要

 【解説】旧優生保護法による強制不妊手術を巡る初の国家賠償訴訟で、原告側は同様に人権侵害をもたらしたらい予防法(1996年廃止)を巡る国の不作為が争われたハンセン病国賠訴訟(2001年の熊本地裁判決確定)での法的構成を下敷きにした。同訴訟は原告が勝訴したが、今回は形式と内実の両面で原告側に高い壁がある。
 形式面は、賠償請求権の存続を不法行為の発生から20年とする除斥期間の起算点だ。原告の不妊手術は約45年前に実施された。ハンセン病国賠訴訟判決が起算点と認定した「法の廃止時」にしても、旧優生保護法が実質的に廃止された96年から既に20年が経過した。原告側が主張する「07年」の起算点が認められるかどうかが争点となる。
 起算点の問題をクリアしても、その後の政府と国会の不作為や過失の有無が内実面の争点だ。訴訟は旧優生保護法の違憲性を直接問うものでなく、当時は合法だった手術に対する補償の責を負うことに国が抵抗するのは確実だ。
 国会では04年、旧優生保護法の誤りを認める政府答弁が相次いだ。当時の厚生労働省幹部が「優生思想に基づく強制的な不妊手術が適当でないため廃止されたと理解している」と述べ、厚労相も追認した。同法と手術強制の不当性はこの時点で既に明白で、本来なら訴訟に至る前に解決を目指すべき問題のはずだ。
 国賠訴訟は判決確定までに長期間を要し、最終的に政治決着が図られる例も多い。旧優生保護法が存在し得た理由に時代背景が指摘されがちだが、当時の優生思想と障害者差別は誤りで今は許されないと言うのなら、政府と国会は何らかの形で過去を清算する必要があるのではないか。訴訟では、障害や差別に向き合う現在の姿勢も問われる。(報道部・畠山嵩)


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2018年01月31日水曜日


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