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<丸森再耕 原発事故を超えて>魅力ある農業創出に力/保科郷雄町長に聞く

ほしな・くにお 1950年丸森町生まれ。伊具高卒。町議5期を経て、2010年12月の町長選に初当選、現在2期目。

 東京電力福島第1原発事故による放射能汚染被害を受けた丸森町をどう再生していくか。復興の現状や人口減への対策、産業再生などについて、保科郷雄町長(67)に聞いた。(聞き手は角田支局・会田正宣)

<いまだ続く規制>
 −原発事故から間もなく7年。復興の状況は?

 「米や野菜はしっかり放射能測定を行うことで、風評被害が長続きせずに済んだ。しかし、山の恵みが豊かな町なのに、原木シイタケの出荷規制が解除されておらず、タケノコも一部地区で規制が続いている。基幹産業の農業への影響はまだ残っている」
 「除染で出た約5万立方メートルの土も仮置き場25カ所に保管されたままで、国が責任を持って片付けるべきだ。県は沿岸部の復興が最終段階に入ったとするが、丸森は仮置き場が撤去されないと復興が終わらず、取り残されている思いだ」

 −町が財源を持ち出した子どもの甲状腺検査など、国負担で実施した福島県と格差が著しかった。

 「甲状腺検査は2018年度に3回目を行い、その後は受診動向を見て検討する。検査していない県内の他自治体で、住民に『なぜ検査してくれないのか』との声もある。町内に不安を感じる本人や家族がいる限り、解消に努める」
 「県境の線引きで困ったのは、何ら落ち度のない住民。丸森は全戸除染して(福島と同じように)賠償も受けたのに、なぜ同じ(原発事故の)被災地とされないのか矛盾があった。国は原発からの距離や放射線量で考え、同等の対応をすべきだ。原発事故は二度とあってはならないが、教訓としてほしい」

<若者定住策探る>
 −原発事故前は移住者が多く、地方創生を先取りしていたと言える。人口減と少子化にどう対処するか。

 「田舎暮らしを求める移住者は原発事故で減少した。町が熱心に移住を進めていることを発信し続ける」
 「若い夫婦向けの定住促進住宅の建設を12年度に始めた。放射能が騒がれた時期でも3倍と人気があった。若者定住のため、子育て支援や教育向上を強化したい。認定こども園が開園した13年度に第2子からの保育料無料化を始めたが、他自治体と差がなくなりつつある。国の動向も見ながら今後の方策を探る」

 −風評被害を受けた農業などの産業振興策は?

 「新しい農業振興ビジョンを3月に策定する。丸森は従来畜産が盛んで、今後は園芸にも力を入れる。若者が職業として選べる魅力ある農業を展開する。次世代型放射光施設は町に誘致できず残念だったが、仙台市への建設が有望となった。関連施設が誘致できないか情報収集する」

 −町再生のため、どう住民と協働するか。

 「協働のまちづくりが始まって10年。社会の変化が激しく、在り方を検証する。筆甫の自治組織が法人化を予定しており、他地区のモデルになるよう支援したい。地域の実情が分かるのが自治組織で、補完し合いながら地域を守りたい」

 


2018年02月01日木曜日


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