山形のニュース

<震災7年>被災日本画の修復大詰め 東北芸工大

六曲屏風の本紙を裏打ちしていた和紙を剥がす大山専任講師(右)ら
応急処置のため宮城県美術館に運ばれた六曲屏風=2011年5月

 東日本大震災の発生時に石巻文化センター(石巻市)に保管され、津波で損傷した日本画の修復作業が東北芸術工科大(山形市)で進んでいる。現在は最後の作品となる「六曲屏風(ろっきょくびょうぶ)」の修復中で、3月までに全ての作業を終える見通し。震災から間もなく7年。被災した文化財のレスキュー活動が大詰めを迎えている。

 石巻文化センターで被災した日本画は、石巻市鋳銭場の貨幣鋳造の様子を描いた絵巻など計7点。宮城県美術館(仙台市青葉区)で洗浄や乾燥といった応急処置を受けた後、東北芸工大に移り、15年から本格的な修復が施されてきた。
 同大文化財保存修復研究センターの大山龍顕(たつあき)専任講師(41)は「津波被害を受けた作品の修復は、何が正解なのか分からなかった。今でも自分の判断が正しかったのかと思うこともある」と打ち明ける。
 修復中のびょうぶは江戸時代後期の作品とみられ、全体を広げた高さは約1.65メートル、幅約3.5メートル。6枚の書画は、それぞれ作者が異なる絵や書を張り合わせたとみられる。
 被災した日本画は、いずれも海水に漬かった上に近くの製紙工場から流れ出たパルプが付着し、カビも発生。センターで大山さんや学生たちがパルプをピンセットで一つずつ取り除くなど、地道な作業を続けてきた。
 現在は、びょうぶの本紙に裏打ちされていた和紙を張り直す作業に取り組んでいるが、風合いを損ねないよう、和紙は白色ではなく薄茶色に染色した物を使用。本紙に付いた染みや破損にはあえて手を加えないという。
 同大大学院1年の柴村桜子さん(22)は「後戻りができない作業なので難しいが、一刻も早く現地に戻せるようにしたい」と話している。
 修復を終えた作品は宮城県美術館で一時保管された後、閉館した文化センターに代わって石巻市に整備される複合文化施設に移る予定だ。


2018年02月01日木曜日


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