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<仙台城・大手門復元の行方>(中)代替道整 備財源壁に

多くの車両が行き交う仙台城大手門跡の丁字路交差点と脇櫓(中央)。歴史的建造物の復元と生活道路の確保の両立が課題となっている=仙台市青葉区川内

 仙台城跡(仙台市青葉区)の大手門復元計画に、改めて注目が集まっている。市が13年前にまとめた計画は東日本大震災の影響もあって滞っていたが、昨年7月の市長選で大手門復元を公約に掲げた郡和子市長が初当選し、仙台城跡の新たな保存活用計画を話し合う検討委員会が始動した。戦災で焼失し、長年の懸案となっている街のシンボル復活の行方はどうなるのか。現状と課題を探った。

<振動 石垣に影響>
 仙台城大手門跡(仙台市青葉区)の丁字路交差点から国史跡の仙台城跡を経て、住宅団地の太白区八木山に抜ける市道仙台城跡線(地図)。カーブが続く坂道にもかかわらず、交通量は1日1万台以上に上る。市民の生活道路であり、行楽客が行き交う観光道路でもある。
 この市道の存在が長年、大手門復元計画にとって最大の障壁となってきた。
 「大手門復元と『川内旗立線』の整備は一体で進めてほしい」。八木山連合町内会の元会長で、桜木町内会長の斎藤満男さん(79)は訴える。
 大手門の復元工事に伴い代替ルートとなる予定の「川内旗立線」は市の都市計画道路。1962年に計画決定されたが、200億円超とみられる膨大な事業費がネックとなり、川内−八木山動物公園前の約3キロで着工の見通しが全く立っていない。
 昨年12月中旬には仙台城跡線で乗用車が急カーブを曲がりきれず、中門(なかのもん)跡の石垣に衝突する事故が発生。大手門と本丸を結ぶ登城路に設けられた「貴重な石垣」(市教委)の一部にずれが生じた。
 東北学院大の菊池慶子教授(日本近世史)は「長期的に見れば、車両通行による振動も石垣にずれを生じさせる」と警鐘を鳴らす。東日本大震災による大規模な石垣崩落を挙げ、史跡保存や防災の観点から、市道仙台城跡線の在り方を考え直す必要性を強調する。

<「20億円超確実」>
 大手門復元に当たっては、道路問題と並び、財源の確保が大きな課題となる。
 仙台商工会議所などは98年策定の仙台城復元基本計画で、大手門復元に必要な工事費を約20億円と見積もった。同商議所は創立100周年(91年)の記念事業として復元を推進した経緯があり、87年の「未来の東北博覧会」の剰余金を原資にした仙台城址(し)整備基金約3億円が今も残る。
 市教委は大手門復元の事業費を試算していないが、「20億円は確実に超す」(文化財課)とみる。構造などが史実と異なる脇櫓(やぐら)(隅櫓)も合わせて再整備すれば、費用はさらにかさむ。
 市は今月1日、2019〜21年度で計812億円の財源不足になるとの財政見通しを発表した。市庁舎建て替えと音楽ホール整備の二大事業が控え、大手門復元を市長選で公約した郡和子市長も1月の記者会見で「喫緊に取り組む状況ではない」と言わざるを得なかった。
 大手門復元構想はこれまで幾度も浮かんでは消えてきた。市教委の仙台城跡保存活用計画等検討委員会で委員長を務める東北芸術工科大の北野博司教授(考古学)は「課題解決に向け、最終的に市長が政治判断できるかだ」と指摘する。


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2018年02月09日金曜日


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