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<仙台城・大手門復元の行方>(下)「市民の城」活用探る 東北芸術工科大・北野博司教授に聞く

北野博司(きたの・ひろし)富山大卒。石川県埋蔵文化財センター勤務などを経て、2000年、東北芸術工科大助教授に就任し、14年4月から現職。04年策定の仙台城跡整備基本構想の検討委員などを務めた。58歳。石川県加賀市出身。

 仙台市教委は今年8月にも仙台城跡(青葉区)の保存活用計画を新たに策定するため、現行の整備基本構想と基本計画の見直し作業を進めている。焦点の大手門の復元はどうなるのか。仙台城跡のあるべき姿とは何か。有識者や経済人らでつくる仙台城跡保存活用計画等検討委員会で委員長を務める東北芸術工科大の北野博司教授(考古学)に論点を聞いた。(聞き手は報道部・小沢一成、野内貴史)

 −東日本大震災などで滞っている仙台城跡整備について、内容や時期を見直す議論が始まった。市民の関心が高い大手門復元の行方をどう見るか。
  政治判断も必要
 「大手門復元は関係部局と粘り強く調整し、解決策を模索していくしかない。問題解消のためには、最終的に市長が政治判断できるのか、経済界は後押しできるか。住民の合意形成も大きな課題だ」

 −市道仙台城跡線の代替ルートや財源確保が積年の課題で、解決のめどは立っていない。検討委の議論次第で、大手門復元計画の撤回や凍結もあり得るか。
 「それはないと思う。遺構をきちんと保存しながら、歴史的建造物を復元したいと考える委員は多い。ただ、課題を解決するためのプロセス(の提示)は、検討委の役割ではない。仙台城跡を保存活用する上で、あるべき姿について意見を出してもらう」

 −個人的に大手門復元をどう考えるか。
  街づくりの中核
 「私はもっと先にやることがあるだろうという立場。大手門ができればランドマークになるし、市長には大英断を願いたい。ただ、大手門の整備だけで終わるのは全く本意ではない。むしろ大手門を生かすため、周辺の環境整備こそやっていかないといけない」
 「青葉山公園(青葉区)の公園センター建設などを考えると、平地からアクセスしやすい(市博物館南側の)巽(たつみ)門ルートを整備したい。今は暗く、うっそうとしているが、植生計画を立て、歩いて季節を感じられるといい。博物館もあり、歴史を学ぶルートとして重要だ」

 −仙台城跡は今後どうあるべきか。
 「仙台城は『市民の城』というより『観光客の城』の役割を期待されているように見える。城は街づくりの中核で、市民の歴史的なアイデンティティー(存在証明)になる場所。市民から乖離(かいり)し、観光客だけの城になってはならない。50年後、100年後に語り継いでいける史跡公園としての活用がベストだろう」


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2018年02月10日土曜日


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