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<復幸の設計図>女川・公民連携の軌跡 第4部・突破(2)町外店も誘致 魅力新たに

ギターの工房など個性豊かなテナントが並ぶシーパルピア女川の一角

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県女川町の中心部に2015年12月、テナント型商業施設「シーパルピア女川」が開業した。新たな町の拠点は、民間と行政が手を携えながら、既存の制度の課題を克服してつくり上げた。震災から間もなく7年。先駆的な市街地再生の歩みをたどり、これからの課題を探る。(石巻総局・関根梢)

 JR女川駅前にできる商業エリアの運営をどうするか−。
 女川町や町商工会が国などとまちづくりの制度活用を模索していたころ、民間業者らは商業エリアの在り方を検討していた。「にぎわいの核となるエリアを民間主体で『経営』しよう」。震災直後に事業者らで設立した町復興連絡協議会(FRK)がずっと温めてきた構想が動き始めた。
 町内の事業者らは2013年6月、商業エリアを運営するまちづくり会社を見据えて「中心市街地商業エリア復興協議会」を発足させた。メンバーらは阪神大震災の被災地、神戸市の新長田地区を視察し、過大な商業施設の経費で苦しむ事業者らの姿を目の当たりにする。「身の丈に合ったまちづくりが大切だ」。そんな認識を共有した。

 14年が明けると、まちづくり会社の設立がいよいよ現実味を帯びてくる。しかし、事業のマネジメントを担う人材が見つからない。FRKの若手メンバーらが白羽の矢を立てたのが、サッカークラブ「コバルトーレ女川」を運営し、石巻地方の地域紙「石巻日日新聞」社長を務める近江弘一(59)だ。
 FRKメンバーの阿部喜英(49)らは14年2月、新聞社の一室で近江を口説いた。「実務は引き受けるが、代表には地元のしかるべき人を据えてほしい」。近江のそんな要望から、町の若手を支えてきた町観光協会長(当時)の鈴木敬幸(故人)が社長に就く。
 そして6月、エリアマネジメントを担うまちづくり会社「女川みらい創造」が誕生する。資本金は1000万円。町商工会を筆頭にFRKを構成する町観光協会、女川魚市場買受人協同組合などが出資。まちづくりをソフト面で体現してきた復幸まちづくり女川合同会社、町も名を連ねた。

 みらい創造は7月、町内の事業者を対象にテナント型商店街の構想についての説明会を開いた。
 「一帯でイベントをやる時は協力してほしい。清掃活動にも参加してほしい」「これまでのように、好きな時間に店を開け閉めする経営はテナント入居にはそぐわない。単なる間借りではない」。近江はエリアの一構成員としての店舗の責任を語った。
 震災前、町の商店街は店舗兼住宅が大部分だった。テナント入居による家賃や共益費の負担は、多くの事業者にとってなじみが薄い。長年築いてきた基盤を震災で失った店主らは、新たな街の構想に現実を突きつけられる思いだった。
 みらい創造は町外の事業者の誘致にも力を注いだ。気仙沼市に拠点を置くコーヒーショップ、石巻市の梱包(こんぽう)資材会社、気仙大工の技術を取り入れたギターを作る工房…。
 官民問わずそれぞれが人脈をフル活用して招いたテナント出店者たちは、震災前にはなかった新たな魅力を女川にもたらす。
(敬称略)


2018年02月12日月曜日


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