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「室礼」通じ年中行事の意味や由来の理解を 秋田の女性、教室開催

船木さんと、自宅の玄関に飾った晩白柚(左)、隼人瓜

 「端午の節句」「ひな祭り」といった年中行事の意味や由来を、季節の野菜や果物などを使って形にして供える「室礼(しつらい)」の教室が秋田市にある。主宰しているのは同市濁川の主婦船木正子さん(64)。「年中行事は単なる風習ではなく、自然や祖先への感謝などの意味がある。室礼を通じて見直すきっかけにしてほしい」と語る。
 巨大なかんきつ類「晩白柚(ばんぺいゆ)」、実から芽が出る「隼人瓜(はやとうり)」。1月中旬、船木さん方の玄関に見慣れない野菜や果物が並んだ。いずれも行事の心を形にする「盛り物」で、晩白柚は「かん吉(きつ)」と置き換えて「大きな福が訪れるように」、隼人瓜には「めでたい」といった意味が込められている。
 船木さんが室礼を始めたのは11年ほど前。中国茶インストラクターの資格を取得する際、テーブルセッティングを学んだ。和式の表現方法を探るうちに室礼と出合い、東京の教室に通い始めた。
 以前から行事を大切にしていたわけではない。核家族世帯で生まれ育った船木さんは22歳で農家の長男と結婚。行事にきちんと取り組む習慣に疑問を抱いていた。「手間なのに、なぜやるのだろう」。いずれ簡素化しようと思っていた。
 心境が変化したのは室礼を学び始めてからだ。例えば、端午の節句で食べるかしわ餅。カシワは若芽が育つまで古い葉が木に残るとされ、子どもの成長を見守る親の心情を表していると知った。「どの行事にも意味や由来がある」。ただこなすだけだった行事の奥深さに気付いた。
 「家庭の中で薄れつつある行事の文化を次の世代にも伝えたい」と、5年前に教室を始めた。今は月に3回、自宅で秋田市や能代市などの30〜80代の男女約15人に教えている。
 「行事は、日本人が四季の中で育んできた大切な習慣」と船木さん。「共働き世帯が増え行事がイベント化しているが、自然を畏怖しつつ共生したり、祖先や家族を大切に思いながら感謝したり、室礼を通じて先人が伝えてきた心を感じてほしい」と語る。


関連ページ: 秋田 文化・暮らし

2018年02月14日水曜日


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