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<復幸の設計図>女川・公民連携の軌跡 第4部・突破[5完]情報戦略人を呼ぶ鍵

おかざき・まさのぶ 岩手県紫波町出身。日大卒、東洋大大学院経済学研究科公民連携専攻修了。地域振興整備公団(現・都市再生機構)などを経て、紫波町の公民連携事業を企画推進する「オガール」代表。内閣官房地域活性化伝道師。45歳。         

◎オガール・岡崎正信代表に聞く 

 宮城県女川町が東日本大震災からの復興まちづくりを進める上で参考にしたのが、岩手県紫波町の「オガールプロジェクト」だ。公民が連携し、JR紫波中央駅前に産直施設を併設した町営図書館、体育館などにぎわい拠点を整備した。プロジェクトを主導したまちづくり会社「オガール」の岡崎正信代表に女川のまちづくりや課題を聞いた。(聞き手は石巻総局・関根梢)

 −被災自治体のこれまでの復興まちづくりをどう評価していますか。
 「まちづくりは不動産事業。市町村で一番の不動産オーナーである役所が『やりたいこと』に走ったケースは復興がうまくいっていない。本来自治体は『やらなければいけないこと』を遂行する組織だが、『何のために、何をしなければならないのか』という議論が希薄になっている」
 「復興とは、『営生権』つまり人々が生きるために営む権利を与えることだと思う。社会資本の整備はその権利を確立するための補助にすぎない。どうやって稼ぐのかという視点を忘れてはならない」

 −自治体が「やらなければいけないこと」とは。
 「民間の投資を誘発するような投資をすべきだ。10億円の公共投資をするなら、同額あるいはその何倍も回収できることをやる」
 「オガールは地代と固定資産税だけで年間2000万円を町に支払っている。公共投資をきちんとすれば実入りがある」

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 −女川町のまちづくりをどう思いますか。
 「女川は独自の分野でマーケットをつくろうとする意識が高かった」
 「人口が増える時代なら『隣町ではこれをやった、うちの町でもやろう』と拡大する需要を先買いするやり方が通用したが、今は違う。重要なのは、石巻圏域で将来何が必要になるかを予測することだ」

 −にぎわいを継続するための留意点は何ですか。
 「女川なら住みたい、と思わせるイメージ作りが必要。オガールプロジェクトはあくまでエリア開発であり、『オガールのある紫波町に住みたい』と思わせて初めて価値が生まれる。敷地内でパフォーマンスを発揮できればいいという考え方に陥ってはいけない」
 「さまざまな人とつながるフック(端緒)を作ることが必要。紫波は農業のまちだから、産直や図書館に農業生産者とつながるフックを作った。それが結果的に外部への発信力となる」

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 −被災地へのアドバイスがあれば。
 「情報のあるところにしか人は来ない。『楽しいことをしていれば人が集まってくる』なんてことはあり得ない。パブリシティー(広報活動)に力を入れることが必要だ」
 「災害大国の日本で、被災地と呼ばれる場所はたくさんある。情報戦略がなければ、(東北の)被災地に人が来なくなるだろう。沿岸自治体はどこも新鮮な海産物を売りにしているが、それだけでは人は呼べない。そのまちに足を運ぶきっかけづくりに一手間加え、とがった戦略を打ち出していくべきだ」
(連載は今回で終了します)


2018年02月16日金曜日


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