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<発展期の幕開け>(上)復興総仕上げへ/沿岸部誘客にてこ入れ

オルレの体験イベントで海岸の風景を眺める参加者。沿岸部を訪れる観光客の増加が期待される=11日、気仙沼市唐桑町

 東日本大震災後に県が策定した復興計画(2011〜20年度)は18年度、最終ステージの発展期に入る。村井嘉浩知事は「ジャンプアップ予算」と名付けた新年度一般会計当初予算案を15日、県議会2月定例会に提出。復旧復興事業の仕上げに加え、観光振興や教育分野の課題解決などに力点を置いた。4期目最初となる本格予算の編成内容を点検した。

◎18年度宮城県予算案

 複雑な入り江を描くリアス海岸に今秋、観光客の受け入れに向けた新たな散策路が誕生する。
 気仙沼市の唐桑半島で11日あった韓国版トレッキングコース「オルレ」の体験イベント。県が整備を進める唐桑コース(約11キロ)を、仙台市や大船渡市などの参加者20人が歩いた。
 イベントを企画した唐桑町観光協会の熊谷羊さん(38)は「思ったより反響があった」と驚く。「オルレをきっかけに、観光客が徐々に増えればいい。県は継続的に関わる姿勢を持ってほしい」と期待する。
 震災から間もなく7年。津波で大きな被害を受けた沿岸部への観光客数は、落ち込んだままだ。

<人気アイドル起用>
 16年に県内を訪れた観光客数は6084万人で震災前(10年)の水準に並んだが、唐桑を含む気仙沼圏域は60%、石巻圏域は76%の回復にとどまる。宿泊施設など環境整備の遅れが響いている。
 県は新年度予算案に、韓国で知名度の高いオルレを沿岸部に開設する費用として5000万円を計上。ジャニーズ事務所のアイドルグループ「Hey!Say!JUMP」を起用した初めての通年観光キャンペーンに1億7000万円を盛り込むなど、被災地への誘客に力を注ぐ構えだ。
 村井知事は新年度の目玉施策として「観光」を真っ先に掲げた。「沿岸部の観光客の戻りが思わしくない。県全体へ呼び込むために力を入れた」と意気込む。「復興の総仕上げを念頭に、実績づくりを急ぐ狙いがあるのでは」とみる県関係者も少なくない。

<進行遅れる事業も>
 被災地の現実に目を向けると、難題が横たわる。石巻市の表浜港で計画される防潮堤整備を巡っては、住民の賛否が割れる。住民への意向調査を突然撤回するなど県の対応は揺れ、見通しは立っていない。被災者の心のケアや、地域コミュニティーの再生などは息の長い支援が欠かせない。
 15日開会の県議会2月定例会で、当初予算案の提案理由を説明した村井知事は「用地取得や地元合意に時間を要すなど、進行に課題を抱える事業もあるが、丁寧かつ粘り強く対応する」との姿勢をアピールした。
 3年後にゴールを迎える県震災復興計画は、最終コーナーに差し掛かった。創造的復興の実現と、遅れた事業の加速的推進をいかに両立させるか、県は難しいかじ取りを迫られている。


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2018年02月19日月曜日


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