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<広がれ輪 重症児者・家族サポート>(中)訪問支援 刺激彩り家庭に届ける

成君(中央)の枕元を電飾で飾り、笑顔で話しかけるメンバーら=昨年11月、宮城県角田市

 宮城県内の医療、福祉の現場で働く20〜50代の男女6人が始めた重症心身障害児者(重症児者)と家族を支援するボランティアグループ「(わ)」(まるわ)が、1月で結成1年を迎えた。外出に付きまとう医療的ケアの問題や、同じ境遇の仲間と出会う機会の少なさなど、家族らが直面する課題の解決に試行錯誤が続く。1年目の活動から、重症児者を巡る現状と課題を探る。(報道部・千葉淳一)

◎わプロジェクトの1年

 重症心身障害児者(重症児者)と家族を支援する「(わ)」(まるわ)代表の相談支援専門員猪苗代華恵さん(40)=仙台市若林区=は昨年11月、仲間の女性看護師や学生ボランティアら4人で角田市に向かった。

<昨年11月に開始>
 「今日はよろしくお願いします」。先天的な染色体異常で重い障害のある船岡支援学校小学部6年の星成(なるみ)君(11)の母久江さん(43)が自宅で迎えた。
 まるわが昨年5月に始めた重症児者と家族が集まる企画は、インフルエンザなど感染症を避けるため10月で休止。これに代わる取り組みとして11月、有料の訪問活動を始めた。
 重症児者の家族は介護や医療的ケアに拘束されて外出しづらく、毎日が単調になりがちだ。医療職や介護職などのまるわメンバーが戸別訪問することで家族の負担を減らし、生活に刺激や彩りを加えようと考えた。

<保育所に入れず>
 星さん親子は猪苗代さんらに「遊び」の提供を依頼した。4人は成君のベッド周辺を電飾で飾り、カラフルなプラネタリウムのような空間を演出。粒状の消臭剤をビニールバッグに詰めて握ってもらい、冷たさや手触りを楽しむ「感覚遊び」もした。
 「成は瞬きや手の動きで、うれしい気持ちを伝えている」。久江さんは目を細めた。
 女性看護師はマッサージで成君の頬や脚の筋肉をほぐしながら、「口周辺のこわばりを和らげると飲み込む機能が向上する。こつこつ毎日ケアをするのが大事だ」と指南した。
 気管切開した成君はたんの吸引が必要な上、鼻から通した管で栄養を取る医療的ケア児。地元の保育所には「看護師がいない」と入所を断られた。
 「社会の一員として認められないのでは」。成君の将来に不安もある久江さんは「自治体の担当者が変わっても、親が先立っても、変わらず十分な支援が行われてほしい」と、まるわの末永い支援に期待する。

<外出の手助けも>
 まるわは新年度、大和証券福祉財団(東京)の助成金を活用し、ともに国立病院機構の仙台西多賀病院(仙台市太白区)と宮城病院(山元町)、医療型障害児入所施設「エコー療育園」(青葉区)に入院入所する重症児者らが望む場所への外出を支援する事業を進める。
 現在、外出は職員の人手や福祉車両の不足などで年1回程度という。新年度は各施設1人限定だが、「(人数が)ゼロと1では大きく違う」(猪苗代さん)。小さな一歩から確実に踏み出すつもりだ。


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2018年02月22日木曜日


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