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<広がれ輪 重症児者・家族サポート>(下)学生の力 きょうだい支援に一役

地域交流会で重症児者と歌を口ずさむまるわのメンバーと学生ボランティアら=昨年10月21日、岩沼市総合福祉センターiあいプラザ

 宮城県内の医療、福祉の現場で働く20〜50代の男女6人が始めた重症心身障害児者(重症児者)と家族を支援するボランティアグループ「(わ)」(まるわ)が、1月で結成1年を迎えた。外出に付きまとう医療的ケアの問題や、同じ境遇の仲間と出会う機会の少なさなど、家族らが直面する課題の解決に試行錯誤が続く。1年目の活動から、重症児者を巡る現状と課題を探る。(報道部・千葉淳一)

◎わプロジェクトの1年

 「もしもし。重症心身障害児者(重症児者)と家族を支える活動を手伝ってもらえませんか」
現実知る機会に
 障害児のきょうだいを支援する東北大教育学部のサークル「てるてるぼーずの会」代表の辻井翔太さん(22)=仙台市若林区=の携帯電話に昨夏、見覚えのない番号から連絡があった。
 電話の主は重症児者支援ボランティア「(わ)(まるわ)」代表の猪苗代華恵さん(40)=同=だった。突然の連絡に困惑しながら7月下旬、辻井さんは岩沼市の総合病院が開いた夏祭り会場に向かった。
 会場では、祭りに参加した重症児のきょうだいの遊び相手になった。親は重症児の世話に掛かりきりになるため、きょうだいは寂しい思いをしがちだ。「年齢の近い学生と伸び伸び遊んでほしかった」と、猪苗代さんが説明する。
 狙いはほかにもあった。きょうだい支援を通じて、重症児者を巡る現実を学生に知ってもらうことだ。辻井さんは「言葉のやりとりができず、意思の疎通が難しい」と思っていた重症児に、まるわのメンバーが笑顔で接する姿が心に残った。

<「健常児と同じ」>
 辻井さんは昨年10月、まるわが岩沼市で開いた地域交流会に参加。重症児と初めて直接交わり、一緒に歌詞カードを見ながら歌った。11月には訪問活動に同行し、重症児の手を取ってスコーンの生地を練った。
 重症児に声を掛けると手を強く握りしめたり、口角が上がったりした。「健常児と変わらない。積極的に気持ちを読み取ろうとすることが大事なんだ」と気付いた。
 辻井さんは臨床心理士の国家資格「公認心理師」を目指している。まるわの活動は医療や福祉が専門のメンバーと意見を交わし、ケアの仕方などプロの仕事を間近に見られる貴重な場だ。

<県内就職を志望>
 「ボランティアに取り組む学生は減っているが、現場に足を運ぶことは重要。本では知り得ない生の声を聞いて糧にしてほしい」。サークル顧問で同大大学院教育学研究科の野口和人教授(発達障害学)は、積極的に外部と交わろうとする姿勢にエールを送る。
 辻井さんは大阪府出身だが、「まるわでの出会いを将来の仕事に生かしたい」と、卒業後は県内で働きたいと考えるようになった。
 1本の電話をきっかけに、まるわの人の輪がさらに広がろうとしている。


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2018年02月23日金曜日


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