宮城のニュース

<再生の針路>環境軸にブランド発信/南三陸町・佐藤仁町長

国際認証を得た養殖カキと、森林をアピールするために開発した薫製カキの試食会
佐藤仁町長

 未曽有の被害が出た東日本大震災から間もなく7年を迎える。県内の被災自治体では、復興のハード事業がほぼ完了し光が差し始めた所がある一方で、被災規模が大きく予想外の曲折もあって、思うように進んでいない所も出ている。沿岸部市町の首長に、足元の復興の進み具合や新たな課題などについて聞いた。

◎震災7年 被災地の首長に聞く(2)

 −東日本大震災から7年を迎える。どんな思いか。

<住宅再建が完了>
 「この1年は復興のターニングポイントだった。災害公営住宅の整備と防災集団移転団地の造成を終え、最優先課題だった住宅再建が完了した。志津川と歌津の復興商店街が開業し、にぎわいが生まれた。町役場庁舎も完成し、公共施設の再建にめどが立った」

 −復興計画の終了まで3年。事業完遂の見通しは。
 「進捗(しんちょく)率が低いのは防潮堤工事や漁業集落防災機能強化事業だ。一つの漁港を除き、3月までに発注を済ませる。復興計画期間内にほぼ全ての事業が終わるだろう。ただ、被災跡地の問題は残る。浜の集落に民地と買い上げた土地が混在し、このままだと使い道がない。どう整理するか知恵を絞らなければならない」

 −住宅再建を終え、町民生活の課題は何か。
 「地域の根幹となる行政区の再編をしなければならない。防災集団移転団地の志津川中央、志津川東両地区は行政区がないところもある。町民の意見を聞きながら、適正規模で編成する。住環境ががらっと変わり、コミュニティー形成には時間がかかる。とにかく孤立させないことが大切だ。災害公営住宅を見守る社会福祉協議会の支援員の協力を得る。行政も細かく対応しなければならない」

 −復興後のまちづくりをどう描くか。
 「環境をキーワードに南三陸のブランドづくりに尽力する。震災後、森林とカキ養殖場の国際認証を取得し、今年は志津川湾のラムサール条約登録を目指す。すでに養殖カキは値段は上がり、効果が出た。農産物の国際基準であるグローバルGAPの取得にも挑戦したい」

 −ブランドづくりになぜ「証」が必要なのか。

<町の魅力再認識>
 「大災害に見舞われ、震災前と同じような町にしても仕方がない。小さな町が埋没しないよう、町が持っているポテンシャルをどう情報発信していくかが大事だ。町民は震災を経験し、地域が持っている魅力を再認識した。だからこそ民間から認証取得にチャレンジする動きが出てきた」
 −人口減対策は。
 「地域に高校がなくなると人口減少が加速する。町唯一の高校である志津川高の魅力を上げるため、町として支援は惜しまない。新年度は中高生のキャリア形成を支援し、小中高の学びの連携をより強めたい。子どもを地域ぐるみで育てる環境をつくる」
(聞き手は南三陸支局・古賀佑美)


2018年02月24日土曜日


先頭に戻る