福島のニュース

復興目指す町 福島・浪江にゲストハウス開設へ 準備着々「また来たいと思える場所に」

6月の開設を目指す自宅兼ゲストハウスで、小林さん(右)らと食事をする和泉さん(中央)=福島県浪江町

 福島県浪江町に移り住んだNPO法人職員和泉亘さん(25)が自宅兼ゲストハウスの開設準備を進めている。親の愛を十分に知らず、故郷と呼べる場所がないまま育った。東京電力福島第1原発事故からの復興を目指す町で「出会いとつながりの場をつくりたい」と新たな人生に踏み出す。
 和泉さんは、原発事故の避難者向け公営住宅のコミュニティーづくりを県内各地で支援するNPO法人みんぷく(いわき市)の職員。2016年12月から福島市に住んで活動に携わってきた。
 6月の開設を目指すのは「ゲストハウスあおた荘」。町役場近くの一戸建てを利用する。準備段階の現在は、避難先から戻った町民やボランティア、視察学生らを招待。「居合わせた人が『また来たい』と思える場所に自然となればいい」と構想を練っている。
 白河市生まれ。3歳の時に両親が離婚し、母親の記憶はない。中学卒業と同時に家を出た。県内の専門学校で学び、建築関係の会社に就職。東京、広島など全国各地で働いたが、3年後に会社が倒産した。「もう帰る家がない」。どん底を味わった。
 県内の友人宅を転々とした後、みんぷくで働けることに。主に浪江町民の支援に関わった。
 町は当時、翌17年春の避難指示解除(一部地域を除く)に向け、議論の真っ最中。「若い人はどうせ戻らない」。町民の言葉が心に引っ掛かり、一つの思いが芽生えた。
 「住むだけで町のためになる浪江に飛び込み、自分の事業で生きていきたい」
 家探しで原発作業員らの元下宿に巡り合った。避難生活中に妻を亡くした大家さんは「大切な場所を残したい」と貸してくれることになった。下宿を引き継ぐ思いで、ゲストハウスにしようと決めた。
 応援の輪も広がっている。町職員と結婚した田村市出身の小林奈保子さん(30)が管理に協力。昨年11月と12月の「大掃除会」に各約20人が集まった。
 備品購入に向けて今月中旬、インターネットで寄付を募るクラウドファンディングを開始。寄せられた資金は100万円を超えた。
 和泉さんはハウスを拠点にしたイベントや視察ツアーの開催、町民や支援者のネットワークづくりなども構想する。「浪江の復興に参加できるような仕組みをつくりたい」。ようやく手にした「わが家」で、未来の可能性を精いっぱい広げるつもりだ。(福島総局・高橋一樹)


関連ページ: 福島 社会

2018年02月26日月曜日


先頭に戻る