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<週刊せんだい>災害弱者の自助・共助(1)高齢者 安心担う多様な人材

減災への意識を地域で育む「支援者のつどい」=2016年6月、寺岡3.4丁目集会所
「黄色い旗」を自宅前に掲げる辺見さん。分かりやすい位置を決めておきたい

<黄色い旗 全戸配布>
 「東日本大震災の発生時、1人暮らしの高齢者をはじめ、支援を必要とする人たちの安否を確認できなかった」。仙台市泉区の泉パークタウンにある寺岡三・四丁目町内会(750世帯)の会長を当時務めていた手島頼夫さん(78)=現寺岡連合町内会会長=は悔しさを込めて振り返る。
 町内会が2010年6月につくった安否確認チームの態勢が整わないまま、約9カ月後に震災が起きた。1979年に入居が始まった寺岡地区は、世代の近い住民が一斉に年を重ねる新興住宅地の宿命を抱え、綿密な災害対応を迫られていた。
 寺岡3、4丁目の65歳以上の高齢化率は36.9%(2017年10月現在)。07年10月の10.2%と比べ、10年間で25ポイント超の伸びを示した。
 町内会は震災の教訓を踏まえ、高齢者同士で支え合う仕組みづくりに知恵を絞った。「声を掛ける人」と「掛けてほしい人」の関係づくりだ。14年に結成した防災部は、民生委員や地区社会福祉協議会会長のほか、20人ほどの住民ボランティアが加わった。いずれも60代以上で看護師の有資格者や元消防士もいる。手島さんは「専門性や得意分野を持ち、任期もないので持続可能な支援になる」と語る。
 防災部に登録する住民84人は災害時、担当する要援護者(37世帯、49人)の安否確認に当たる。寺岡連合町内会が全戸に配っている、家の外に掲げて無事を知らせるための「黄色い旗」も、安否確認を一層確実にする手だてとして重要視する。
 支援スタッフは年1回、町内会主催の「支援者のつどい」で一堂に会する。現町内会長の辺見正雄さん(70)は「円滑な支援には、支援者同士の交流が欠かせない。互いの役割を確認したり、課題を共有したりする場にもなっている」と話す。

<地図付き名簿 効果>
 「自分たちの町は自分たちで守る」を合言葉に活動するのは、宮城野区の福住町町内会(412世帯)。住民それぞれが役割を持つ自主防災マニュアルを03年に作り、毎年秋にある全員参加型の防火・防災訓練を通じて備えに力を注ぐ。
 1人暮らしの高齢者らを要援護者(57世帯、73人)と位置付け、震災時の安否確認では地図付きの要援護者名簿が効果を発揮した。
 個人情報保護法の影響もあり、名簿作りは難しさが伴うが、菅原康雄会長(70)は「名簿は命綱になる。災害弱者と言われる方々はなおさらだ。個人情報に細心の注意を払うのは当然だが、賛同者だけでも名簿を作ってほしい」と訴える。
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 東日本大震災から間もなく7年。高齢者、乳幼児とその親、障害者、外国人それぞれの立場で、災害直後の自助、共助の在り方を考えます。

◎減災のワンポイント/必需品の保管定位置に

 災害直後の避難生活に支障が出ないよう、自らが減災を図る創意工夫を紹介します。
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 仙台市泉区の寺岡三・四丁目町内会は、要援護者世帯を対象に、筒型のケース「あんしんキット」を配っている。家族の連絡先や、かかりつけの医療機関、アレルギーの有無、手術歴、平均血圧などを記入する「あんしんカード」を収納。保険証、診察券、処方薬の履歴が分かる「お薬手帳」の写し、本人写真も一緒に入れておく。
 災害時はどうしても慌ててしまうので普段の習慣づけが大事だ。町内会はキットの保管場所を各世帯の「冷蔵庫の中」に統一した。
 福住町町内会(宮城野区)の菅原康雄会長は、常備薬や補聴器、老眼鏡、入れ歯といった避難生活に欠かせない物も、すぐに持ち出せるよう定位置を決めることを勧める。「支援を円滑にする上でも、本人にしか分からないことは、前もって準備をお願いしたい」


関連ページ: 宮城 文化・暮らし

2018年03月01日木曜日


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