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<岩手県立高田病院>診療開始 事務職員・村上さん 亡き夫の思い引き継ぐ

事務作業をこなす村上さん

 東日本大震災で全壊した岩手県立高田病院(陸前高田市)が移転新築して1日、診療を開始した。震災から間もなく7年。特別な思いを胸に、この日を迎えた医師と事務職員がいる。

 「はい、高田病院です」。医事課で臨時職員の村上和恵さん(39)が、電話の応対に追われていた。
 旧高田病院の診療放射線技師だった夫の真也さん=当時(39)=はあの日、院内で犠牲になった。結婚して5年足らず。2人の子どもは3歳と1歳。成長を見届けることはできなかった。
 真也さんが仕事の話をしたことはほとんどなかった。「どんなところで働いていたんだろう」という思いが膨らみ、亡くなった夫と同じ職場で働こうと決めた。周囲には「どうしてわざわざ」という声もあったが、後悔するのが嫌だった。
 2013年4月、仮設診療が続く高田病院に就職。真也さんの仕事ぶりに助けられたと、医師から感謝の手紙をもらった。医療用プロテクターを着て働く写真が添えてあった。少しずつ、生前の真也さんが見えてきた。
 「お母さん、これからここで働くんだよ」と話すと小学4年と2年になった子どもたちは、新病院に「大きいね」と目を丸くした。
 父親の記憶はあまりないが、高田病院で働いていたことは、ずっと覚えていてほしいと思う。
 遺体は損傷が激しく、対面できないまま荼毘(だび)に付したのが今も心残りだ。夢にも現れない。同じ職場で働くようになったことを夫はどう思っているだろうか。
 「夫と同じぐらい患者さんの役に立つのは難しいだろうけど、精いっぱいサポートしたい」と前を向く。


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2018年03月02日金曜日


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