宮城のニュース

<再生の針路>緊急避難路の整備急ぐ/多賀城市 菊地健次郎市長

完成間近の八幡雨水ポンプ場の雨水調整池=多賀城市栄4丁目

 未曽有の被害が出た東日本大震災から間もなく7年を迎える。宮城県内の被災自治体では、復興のハード事業がほぼ完了し光が差し始めた所がある一方で、被災規模が大きく予想外の曲折もあって、思うように進んでいない所も出ている。沿岸部市町の首長に、足元の復興の進み具合や新たな課題などについて聞いた。

◎震災7年 被災地の首長に聞く(8)

 −現在の復興状況は。
 「事業が順調に進み、2018年度当初予算の復興分は、前年同期比で半減の38億878万円になった。復旧期3年、再生期4年を経て、18年度は総仕上げの発展期3年が始まる」
 「予定した桜木、新田、鶴ケ谷、宮内の四つの災害公営住宅が完成し、全532戸が入居して自治会もできた。被害の大きかった宮内地区の土地区画整理事業もほぼ終え、既に30戸が住宅を再建した」

 −産業振興はどうか。
<就労600人見込み>
 「防災拠点と産業振興機能を持つ、八幡一本柳地区の工業団地『さんみらい多賀城・復興団地』(15.6ヘクタール)は、11事業者と立地協定を結び、残りは1区画。6社が操業を始め、最終的に就労600人を見込む。18年度は防災備蓄倉庫やイベントスペースを設ける」
 「復興のシンボル、JR仙石線多賀城駅周辺の整備も進んでいる。市立図書館は利用者が270万人を超え、『東北随一の文化交流拠点』として歩みだした。将来は文化センターや多賀城廃寺跡、政庁跡と結び、観光振興につなげたい」

 −残る大きな事業は。
 「市域を南北に結ぶ総額131億円の二つの緊急避難・物流路だ。清水沢多賀城線は、砂押川とJR仙石線をまたぎ東田中地区と国道45号を結ぶ全長977メートル。笠神八幡線は砂押川から陸上自衛隊多賀城駐屯地の西側を通り多賀城高に至る1520メートル。19年度末には通行できるようにしたい」
 「地盤沈下で大代、桜木両地区は今も汚水があふれ、公共下水道(雨水)整備に力を入れる。その一つとして、栄4丁目の八幡雨水ポンプ場に、総量1万2000立方メートルの雨水調整池が間もなく完成する。市東庁舎の耐震化も基本構想を年度内にまとめ、18年度設計、19年度着工を目指す」

 −今後の課題は。
<「東大寺」道標に>
 「心の復興が必要になっている。4月28日に東北歴史博物館で始まる東日本大震災復興祈念特別展『東大寺と東北〜復興を支えた人々の祈り』で、何度も災禍に遭いながら復興してきた東大寺の歴史を未来への道標として発信したい」
 「家賃据え置きの自治体が出ている災害公営住宅家賃は、多賀城市では19年10月から見直しが始まる。被災者以外の人も入居する現状を踏まえ、被災者だけを対象にしていいのか総合的に判断したい」(聞き手は多賀城支局・高橋秀俊)


2018年03月03日土曜日


先頭に戻る