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<点検・再始動 復興の理想と現実>医療・福祉(2)石巻市立病院 包括ケア後退に懸念

JR石巻駅前に再建された石巻市立病院。手前は地域包括ケアの拠点施設「ささえあいセンター」(仮称)の建設予定地

 復興は理想にとどまるのか。今が正念場だ。
 東日本大震災で被災し、2016年9月に移転再開した石巻市立病院(180床)。被災者支援と連動して市が進める「石巻版地域包括ケア」の推進母体として、在宅医療をはじめ総合診療の拠点を目指す理念を掲げた。医師確保など態勢整備に時間を要し、「本格稼働」には至っていない。
 「訪問診療や半島部への支援など、出向く医療を充実させなければならないが、院内業務で手いっぱいな面があった」。椎葉健一院長(64)は再開後の約1年半を振り返る。

<目標を下回る>
 市は震災後の課題に対応し、医療、福祉、保健などのサービスを一体的に提供する地域包括ケアシステムの導入を打ち出した。被災地最大規模の仮設住宅団地がある開成・南境地区をモデルに、住民の認知症や健康状態の悪化に多職種連携で対応。市全域での展開を目指し、市立病院を医療の中心的立場と位置付けた。
 一方、病院は建設場所を巡る議論の曲折などで、約5年半の休止期間を経て再開した。医師の多くは他院に移ったまま戻らず、常勤医は現在、目標の20人を下回る16人。再開当初の病床利用率は50%前後と低迷し、収入も伸び悩んだ。「手術件数が頭打ち状態の影響が大きい」として、麻酔科医の確保などを急いだ。
 新年度、医師増員の見通しだが、病院経営に重点を置くかのような流れを懸念する関係者は少なくない。
 地域包括ケアの動向を注視する山口荘一郎市議(41)は「今後の急激な高齢化を見据えれば、包括ケアの態勢づくりを今やらないと間に合わない」と指摘。「在宅医療など地域に出る医師を増やし、実際に動ける態勢をつくることが重要。当初の理念を後退させてはならない」と訴える。

<専門医育成を>
 石巻市内には石巻医療圏で急性期医療に特化する石巻赤十字病院(464床)がある。同病院は震災後、病床を62床、医師を30人以上それぞれ増やした。市立病院について金田巌院長(70)は「公立として地域ニーズにどう応えるか、方向性を明確にすべきだ」と役割分担の意義を強調する。
 理念の具現化には人材育成も鍵を握る。市立病院開成仮診療所と市包括ケアセンター所長を務める長(ちょう)純一医師(51)は、宮城県が支援し16年に誕生した東北医科薬科大医学部の卒業生が初期研修を終える6年後を見据え、在宅医療を担う総合診療専門医の育成強化を提起する。
 先進的な地域医療で知られる佐久総合病院(長野県)に長年勤務した長医師は「市は入院や在宅医療を担う病院に加えて離半島部の診療所も運営する。必要な勉強ができる態勢を整えれば医師は集まる」と強調。「地域枠の奨学生らを総合医に養成するには県の主体的な取り組みも必要。関係機関が連携し、持続的に人材確保できる体制を築くべきだ」と指摘する。(報道部・菊池春子)


2018年03月03日土曜日


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