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<再生の針路>心身のケア 息長く支援/仙台市 郡和子市長

震災遺構「荒浜小」から見える荒浜地区の防災集団移転跡地。官民で取り組む利活用によって、にぎわい創出などが期待される=仙台市若林区
郡和子市長

 未曽有の被害が出た東日本大震災から間もなく7年を迎える。宮城県内の被災自治体では、復興のハード事業がほぼ完了し光が差し始めた所がある一方で、被災規模が大きく予想外の曲折もあって、思うように進んでいない所も出ている。沿岸部市町の首長に、足元の復興の進み具合や新たな課題などについて聞いた。

◎震災7年 被災地の首長に聞く(10)

 −東日本大震災から7年。復興事業の状況は。
ハード整備めど
 「ハード面の整備はめどが付いてきた。県道塩釜亘理線のかさ上げによる東部復興道路の建設、避難道路整備はいずれも2018年度末までに終了する見込みだ。東部の防災集団移転跡地の利活用はこれから始まり、蒲生北部地区の区画整理事業は20年度に完了する予定だ」

 −今後の課題は何か。
 「市内の仮設住宅は16年度末に解体、撤去され、新たな局面に移った。今後は被災された方の心身のケアや孤立防止など息の長い支援が一層求められる。阪神淡路大震災でも同様の取り組みは長期間に及んでいる」
 「心的外傷後ストレス障害(PTSD)が顕著に表れるのが、震災後5年以降だという。災害公営住宅に入っても、配偶者が亡くなり独居になるなど家族状況も変化する。市は社会福祉協議会と連携して『つなぐ・つながるプロジェクト』などに力を入れている。入居者のニーズに応じ支援団体を紹介したり、コミュニティーづくりを後押ししたりする取り組みだ」

 −被災沿岸部のまちづくりの展望をどう描くか。
 「5地区の防災集団移転跡地を事業者に貸し出すプロジェクトが、いよいよ動きだす。今月末に事業者が決まる見込みだ。住宅再建できない地域をどう活性化させ、交流人口を増やすか。他の自治体にとっても移転跡地の活用は大きな課題。民間の創意ある提案を生かして官民で進める利活用モデルを発信する」
 「区画整理中の蒲生北部地区では、ものづくり産業の集積を進める。東北の各ビジネス拠点へのアクセスの良さなど地区の優位性をアピールしながら、企業誘致を積極展開していく」

 −震災の記憶の風化防止も課題だ。
 「震災後に生まれた子どもたちなどへの教訓の伝承が欠かせない。震災遺構『荒浜小』を活用した教育プログラムなどに力を入れる。来年度は市中心部のメモリアル施設整備の検討を進め、荒浜地区の住宅基礎群を遺構として整備する」

 −復興のトップランナーとして果たすべき役割は。
防災力高めたい
 「二度と同じ被害を生まないためにも、被災経験や復興へ立ち上がる過程を国内外に発信する責務が私たちにはある。国連世界防災会議で採択された国際行動指針『仙台防災枠組』を国内外の防災・減災へ生かすため、仙台の防災力をさらに高めたい。枠組に盛り込まれた『ビルド・バック・ベター』(被災前より災害に強い復興)という考え方は、今や世界の目標だ」
(聞き手は報道部・吉田尚史)


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2018年03月05日月曜日


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