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<福島第1>19年度までにサンプル採取を 東電廃炉カンパニー・増田尚宏最高責任者に聞く

増田尚宏(ますだ・なおひろ)福島第2原発所長などを経て、2014年4月の発足と同時にカンパニー最高責任者。18年4月から本社執行役副社長に就任予定。後任には前第1原発所長の小野明氏が就く。

 東京電力福島第1原発事故から7年を前に、東電福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者が河北新報社のインタビューに応じた。原子炉格納容器の内部調査で確認された溶融燃料(燃料デブリ)の可能性がある堆積物について「性状を見極める必要がある」として、溶融燃料の取り出し方針を確定させる2019年度までにサンプル採取を目指す考えを示した。(聞き手は福島総局・阿部真紀)

 −炉心溶融(メルトダウン)した1〜3号機の内部調査が進んだ。2、3号機では溶融燃料とみられる堆積物などが確認された。

<各号機で追加調査>
 「内部の損傷状況がコンピューター解析とほとんど同じであることが分かってきた。具体的な時期や方法は決まっていないが、各号機で追加調査を進める。堆積物がねばねばしているのか、硬いのか性状をつかむ必要がある。取り出し方針確定と初号機を決める前にサンプルを採取し、成分や線量を分析できればいいと思っている」

 −1〜4号機の建屋周囲の地下に氷の壁を造る「凍土遮水壁」の汚染水抑制効果を先日、公表した。遮水効果は約5割で限定的だ。
 「凍土壁で建屋周辺に流れ込む地下水が安定するからこそ建屋周囲の井戸『サブドレン』のくみ上げ機能が発揮できる。凍土壁による抑制量は1日95トンとはいえ、5年も使えば20万トンに上る。その分、タンク増設や汚染水浄化に掛かる費用が不要となる。大雨時に汚染水があふれる心配も要らなくなった。金額に換算できない効果もある」

 −汚染水浄化後に残る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法が決まらない。タンクを造り続ける状況は変わっていない。

<保管量に余裕ある>
 「1日400トンを超えていた汚染水発生量が100〜150トンに減り、7〜10日で1000トンタンク1基を造れば間に合う状況になった。137万トンまでタンクで保管できる計画を示している。現在の保管量は約100万トンで、20〜30万トンの余裕はある」
 「ただ、処理水が年に3万〜4万トン増えれば計画は5年ほどで破綻する。最終的にトリチウム水の扱いを決めなければ問題は解決しない。(海洋放出している)他の原発と科学的には同じだが、事故を起こした原発で発生した処理水ということで社会的なインパクトがある。風評につながりかねず、対策をしっかりやらない限り先には進めない」

 −4年務めた最高責任者を退任する。
 「野戦病院のような状況から普通の現場になるまで進んだ。住民帰還を妨げたり、帰還意欲をそがないようにしたりする状態にはなった。廃炉を登山に例えれば、まだ登山口付近。山の高さも見えていないが、必要な装備はだいぶ分かってきた。途中で引き返すことがないよう準備を進める」
 「情報を提供するだけでは駄目で、住民の皆さんに伝わって理解してもらうことが大事だと学んだ。溶融燃料取り出しに関しても外部への影響など、皆さんの心配事や関心にきちんと対応できるよう努める」


2018年03月05日月曜日


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