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<再生の針路>観光拠点の整備着々と/亘理町 斎藤貞町長

今春完成予定の陸上競技場(手前)。右奥は4月上旬に宿泊を再開する「わたり温泉鳥の海」

 未曽有の被害が出た東日本大震災から間もなく7年を迎える。宮城県内の被災自治体では、復興のハード事業がほぼ完了し光が差し始めた所がある一方で、被災規模が大きく予想外の曲折もあって、思うように進んでいない所も出ている。沿岸部市町の首長に、足元の復興の進み具合や新たな課題などについて聞いた。

◎震災7年 被災地の首長に聞く(13)

 −復興計画の終了まで3年。事業の進行状況は。
<農地活用にめど>
 「138事業を計画し、本年度末時点で85%完了となる。避難道路建設が一部地権者との交渉の関係で遅れているが、おおむね計画に沿って進んでいる」

 −観光拠点だった荒浜、農地が広がっていた吉田東部両地区の一部が災害危険区域となった。用地活用の見通しは。
 「荒浜では陸上競技場と野球場、レジャー用ボート係留施設フィッシャリーナなどの整備が今春終わる。ホテル佐勘が指定管理者となったわたり温泉鳥の海も4月上旬にリニューアルオープンし、震災後休止していた宿泊が再開する。海水浴場再開は来年以降になるが、観光拠点としての姿がイメージできるようになってきた」
 「吉田東部の災害危険区域を『産業誘致・再生ゾーン』(約300ヘクタール)に位置付けた。メガソーラー(大規模太陽光発電所・約75ヘクタール)や、石巻市の農業生産法人うしちゃんファーム(約60ヘクタール)の進出が決まるなど災害危険区域の農地活用はめどが立った。ファームは、観光農場の構想もあると聞く。鳴り砂で有名な吉田浜の整備も管理者の県と整備を進めていきたいと考えている」
 「荒浜、吉田地区ともにピンチをチャンスにできつつある。交流人口の拡大を定住に結びつけたい」

 −主要産業のイチゴの復活は進んでいるか。
<イチゴ出荷8割>
 「離農したイチゴ農家も少なくなく、出荷額は震災前の8割にとどまっている。一方で、高設栽培などによって効率が上がり、10アール当たりの収量は震災前の3.6トンが4.5トンになった」

 −町が整備したイチゴ団地の一部で地盤沈下が発生しハウスに不具合が出ているが、町は修理費の負担に応じていない。
 「通常なら施設利用者が整備すべき事業だが、震災の特例で町が主体となった経緯がある。修理は団地管理組合にお願いしたいと考えているが、組合に対して補助金を出せないか模索している」

 −一体的に整備する役場庁舎と保健福祉センターが6日に着工した。約38億円の建設費が町の財政にどう影響するか。
 「震災前、役場が本庁舎と分庁舎に分散していた関係で、震災復興特別交付税の見通し額は7億円程度だった。国との折衝で分庁舎分の見直しなどがあり、上積みされる可能性が高くなっている。将来の財政負担が最小限で済む見通しが立ってきた。ここ数年で一番の問題だっただけにほっとしている」(聞き手は亘理支局・安達孝太郎)


2018年03月08日木曜日


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