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<週刊せんだい>災害弱者の自助・共助(2)乳幼児 「いつも」の維持大事

明戸さん(右)の防災リュックの中身。4人の子どもたちにもそれぞれ防災リュックを用意している=仙台市内
明戸さんの防災ポーチの中身。保険証や診察券、お薬手帳、懐中電灯、あめなどをいつも持ち歩く

<防災リュック工夫>
 「え? こんなに必要なの」。仙台市の子育てサークル「ハッピーママ」の防災講座で防災リュックの中身を見た若い母親らは、一様に声を上げる。すぐに食べられる缶詰にお菓子、ペットボトル用ストロー、おむつや赤ちゃん用おしりふき…。詰め込まれているのは、東日本大震災の発生直後の暮らしで役立った品や欲しかった品だ。
 「若いお母さんたちは防災リュックを用意する発想がないことも多いけれど、子どもの年齢が低いほど避難の際に必要な物は増える」とメンバーでデザイナーの明戸なぎささん(46)=宮城野区=。「子どもに『おなかがすいた』と言われるのが一番つらい。子どもを抱っこして背負える重さに収まるよう考えてリュックを用意してほしい」と話す。
 ハッピーママは震災からの心の復興をテーマにしたフリーペーパーを発行してきた。依頼に応じて乳幼児を育てる母親らを対象とした防災講座の講師を務め、防災リュックや毎日持ち歩く「防災ポーチ」を展示する。震災から7年。近ごろは防災意識の薄い参加者が目立ち始めた。
 子育てに追われて地域の避難所を知らず、食料や水の備蓄もない。震災当時は学生だったり遠方の県で暮らしていたりして、備えの必要性の実感がないケースが多いという。
 食品は余分に買っておいて使った分を補充する、成長を見越したサイズのおむつを用意する…。備蓄は「日常の買い物に少しプラスしておけばいい」。近所付き合いがあれば、災害時に情報交換できる。明戸さんは「生活に密着した備えで、防災力を高めてほしい」と訴える。

<寝室は寝具のみに>
 「子どもが騒いで迷惑では」「授乳やおむつ替えはどうしよう」。震災時、電気や水道などライフラインがストップする中、地域の避難所に居づらい、行きづらいと感じた母親らは少なくなかった。
 「小さい子どもがいる場合は、倒壊や浸水といった危険がないなら自宅で過ごす方がいい」。イラストレーターで防災士のアベナオミさん(32)=多賀城市=は、自宅を「マイ避難所」と捉えて防災対策を講じることを提案する。
 寝室に置くのは寝具のみにすると、大きな揺れでも物が散乱せず安全な居場所を確保できる。流通が滞っても一定期間しのげるよう、普段の食料や飲み物、日用品を日頃から多めにストックしておく。カセットコンロや電池式などのスマートフォン充電器も欠かせない。
 アベさんの長男は震災当時1歳7カ月。いつものお菓子やジュースが買えず、好きなテレビ番組を見られないことがストレスになった。「大人は我慢して済ませられることも、子どもは我慢できない。非常時にいかに『いつも』を維持できるかが大事」と指摘する。

◎減災ワンポイント/土鍋炊飯 普段から実践

 ハッピーママの明戸なぎささんとイラストレーターのアベナオミさんが共に災害への備えとして勧めるのが、普段の生活の中で土鍋でご飯を炊くことだ。
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 「カセットコンロと土鍋でご飯が炊ければ、パックご飯は備蓄しなくてもいい」と明戸さん。「鍋や火力により加熱時間は変わる。時々でも、家庭で炊いてみてほしい」と言う。
 炊き方は図の通り。研ぎ水が惜しいときは、研がなくてもOK。「市販の米は、研がなくてもおいしく食べられますよ」とアベさん。できれば炊く前に米を水に30分以上漬けておき、無洗米なら水を少し多めにする。
 アベさんは、節水・時短調理につながる「水漬けパスタ」も教えてくれた。パスタを4時間以上水に漬けておくと、パスタソースなどと一緒に1分間炒めるだけで食べられる。「普段のお弁当作りにも便利」だ。
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 東日本大震災から間もなく7年。高齢者、乳幼児とその親、障害者、外国人それぞれの立場で、災害直後の自助、共助の在り方を考えます。


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2018年03月08日木曜日


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