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<強制不妊手術>宮城県内「任意」の手術492件 優生手術台帳がない62年以前、周囲の勧めで強いられたか

優生保護審査会を経ず、「任意」による不妊・避妊手術や人工妊娠中絶の件数が記された県の公文書

 旧優生保護法(1948〜96年)下で知的障害などを理由に不妊・避妊手術が強制された問題で、宮城県の優生手術台帳がない62年以前、県の優生保護審議会を経ない「任意」の不妊・避妊手術や人工妊娠中絶が少なくとも計492件あったことが8日、県公文書館(仙台市泉区)の資料で分かった。周囲の勧めで手術や中絶を強いられたとみられ、関係者は「被害は氷山の一角」と指摘する。

 県衛生部(当時)の衛生概況によると49〜62年、県内では任意の不妊・避妊手術が計1万5141件実施された。このうち、本人や配偶者、4親等以内の血族関係者が遺伝性疾患や精神障害、ハンセン病患者に該当する人は49〜53年と61〜62年に明確な記録が残っており、計77件に上った。
 人工妊娠中絶は、49〜62年で計30万3件。度重なる法改正で、49年には貧困など「経済的理由」が加わり、51年には遺伝性疾患やハンセン病患者以外の障害にも拡大された。統計データは健常者と混在する年も多いが、障害者への施術が明記された分だけでも計415件あった。
 旧法は、任意による不妊・避妊手術と人工妊娠中絶であっても「本人同意」を前提としていたが、対象者が未成年や知的障害者らの場合は、同意不要か保護者の判断に委ねていた。
 「不良な子孫の出生を防止する」という優生思想に基づき、「障害は遺伝する」「育児能力がない障害者は子どもを産むべきではない」との偏見や差別も根強くあり、親族や地域に施術を促されたケースも少なくないとみられる。
 県立精神医療センター(名取市)名誉院長の猪俣好正さん(73)は「当時は人権意識が低く、優生思想に対する社会全体の抵抗感が乏しかった。手術や中絶が法律上『任意』の区分だったとはいえ、障害者本人が望んだ選択かどうかは大きな疑念が残り、幅広い救済が必要だ」と話す。


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2018年03月09日金曜日


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