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<強制不妊手術>「よい子を生み育てるために」 宮城県の啓発冊子、推進姿勢を裏付け

「不幸な子どもが生まれない対策」として、優生保護の必要性などが説明されている県発行の冊子

 知的障害者らに不妊・避妊手術を強いた旧優生保護法(1948〜96年)を巡り、宮城県公文書館(仙台市泉区)には県が発行した啓発冊子、相談所や集団指導の経過などを記録した資料も残されていた。厚生労働省によると、県内の強制手術件数は北海道に続き、全国で2番目に多い。国だけでなく、優生保護審査会を運営した県の推進姿勢を裏付けている。

 公文書館に保管されているのは、家庭向けの冊子「よい子を生み育てるために」。71年発行と発行年不明のカラー刷りの2冊があり、結婚から出産までの注意事項が記されている。
 71年発行分では、当時の県衛生部長が「未熟児、精神薄弱など年々多数の不幸な子どもが生まれている」と説明。「適切な方法で救える。医学の知識を行政面に取り入れ、施策を推進する」と呼び掛けた。
 「不幸な子どもの発生数」とのページもあり、「県内での発生予測は年間6472人」と記述し、出生数全体の5分の1が望ましくない子どもと指摘。「よい子を生み育てるための対策」として「正しい結婚」を推奨し、優生保護対策を施策の柱に据えた。
 旧法は、都道府県の役割として、手術の適否を判断する優生保護審査会の委員任命・費用弁償のほか、優生保護に関する知識普及を図る「優生保護相談所」の設置を義務付けた。
 県公衆衛生課(当時)の52年度事業概況には、相談所の運営状況も記録されている。相談内容別の指導件数は、遺伝性疾患などがある人の結婚を規制する「優生結婚」が299件、人工妊娠中絶は329件、避妊など受胎調節は3245件。講演会など集団指導も計184回行われた。
 県は50年度以降、優生保護費を一般会計当初予算に盛り込み、審査会と相談所の経費を計上。財源の多くに県費が充てられた。
 県内の強制手術などについて、県議会は現在、県に実態解明を求めている。村井嘉浩知事は開会中の県議会2月定例会で「当時の法規定で実施されたが、深い同情を感じる。(被害者から)相談や調査の申し入れがあれば、適切に対応する」との考えを示した。


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2018年03月09日金曜日


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