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<回顧3.11焦点>汚染稲わら行き場なし 国や東電への不信感から候補地の住民反発

汚染稲わらを一時保管場所に搬入する作業。隔離の動きは畜産関係者が思うようには進んでいない=2011年11月16日、宮城県登米市

 福島第1原発の事故後に収集され、肉用牛の放射能汚染の原因ともなった汚染稲わらについて、一時保管場所が決まらず、岩手、宮城、福島の各県が頭を抱えている。候補地周辺の住民の多くが反対を表明し、汚染稲わらは依然、畜産農家の敷地内や休耕田に置かれたままだ。秋わらの搬入が本格化しており、汚染稲わらの隔離は待ったなしの状況となっている。(宮田建、柏葉竜、松田佐世子)

 農林水産省によると、汚染稲わらの保管量は8道県で7200トン。岩手580トン、宮城4700トン、福島1200トンで、3県だけで6480トンと、全体の9割を占める。

<登米が2300トン>
 宮城県では登米市が県内の約半分の2300トンを保有。栗原市890トン、大崎市780トンと合わせ県北3市で8割に上る。県北は畜産農家が多く、県内外から稲わらが集まる。良質な稲わらの生産地でもあり、大規模な販売業者が東北、関東に供給し、汚染牛拡大の一因にもなった。
 国の方針では、放射性セシウムが暫定基準値の1キログラム当たり300ベクレルを超えた稲わらは肉用牛や乳用牛のえさに使用できない。

<踏み切れず>
 8000ベクレル以下の場合、市町村が一般廃棄物として焼却か埋め立てができ、元の水田にすき込むことも可能だ。8000ベクレルを超えると最終処分方法が決まるまで、一時的な隔離保管を行う。
 量の多い宮城、福島の2県は詳細な稲わらの全量検査ができず、空間放射線量の検査を併用。事故後に水田から収集された稲わらは全て「汚染稲わら」扱いにして一時保管の対象にした。
 8000ベクレル以下は全体の半分程度と見込まれ、ある自治体は焼却に向けて粉じんテストを行ったが、灰の処理や住民感情に配慮して踏み切れていない。すき込みについても、多くの農家で少しでも汚染されたものを水田に戻すことへの心理的抵抗が強く、進んでいない。
 各県は市町村と協力して一時保管場所の選定を急ぐが、登米市の一部や畜産農家数戸が共同で私有地にハウスを建てるケースを除き、周辺住民の反対で難航しており、それぞれの畜産農家が抱えたままとなっている。

<感情論先行>
 大崎市農業振興課は「兼業農家の多い住民は農畜産物の風評被害や健康への不安から、保管場所の受け入れには『嫌だ』という感情論が先にある。国や東京電力への不信感もある」と困惑気味に話す。
 汚染稲わらの隔離保管は畜産農家の安全確保、秋わらへの混入防止、肉用牛の汚染防止などの観点から喫緊の課題だ。宮城県は緊急避難として、汚染稲わらを包装材で4重に密閉するか、専用の袋に詰めるかして各戸で保管する作業を推進。保有量の少ない畜産農家が多い福島県は、畜舎外に出しブルーシートをかぶせて隔離している。=2011年11月21日河北新報
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 東日本大震災の直後から、被災地で暮らす市民の課題を取り上げた河北新報連載「焦点」。震災7年の節目に、発生翌年までの主な記事をまとめました。
=肩書や年齢は掲載当時のものです。=


2018年03月11日日曜日


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