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<震災7年ネット調査>社会を先取りした地域創世を

中林一樹(なかばやし・いつき)福井県生まれ。専門は災害復興、都市防災。都立大(現首都大学東京)工学研究科建築学専攻博士課程単位取得退学。首都大学東京教授を経て、明治大大学院特任教授。宮城県南三陸町震災復興計画策定会議副委員長や日本災害復興学会長を務めた。70歳。

◎日本災害復興学会特別顧問・明治大大学院特任教授 中林一樹氏に聞く

 東日本大震災の前と比較した今の暮らし向きについて、被災者の間で復興した人とそうでない人が出てきている。「仕事」に関しては5人に1人、「住宅」は4人に1人が厳しくなったと感じている。
 同じ被災3県沿岸部でも、「日常生活」が厳しくなったと捉える被災者は非被災者より3倍多い。7年たっても被災者復興ができていない現実を忘れてはならない。
 復興度は首都圏のほうが低い。震災直後の状況から復興する様子を身近で見ていないこともあるだろうが、復興は思わしくないと評価している。この点で、風化はしていないとも言える。
 全体では復興度は前回よりわずかに高く、復興は牛歩かもしれないが、進んでいると認識されている。
 この先、復興度が上がるのかと言えば、難しいかもしれない。被災地だけが7年過ぎたのではない。被災者は7歳年老いた。高齢化、若者流出、人口減少という負のスパイラルから転換できるかどうか、これからが正念場だ。
 創造的復興のキーワードは地域創生。行政の支援を、若者とよそ者が創出するコミュニティービジネスなどの新しい力と結集し、元気な被災高齢者も働き支え合える社会を先取りできるか。被災地復興の基盤はできた。そこに花を咲かせ、全ての被災者復興に引き上げることができて、初めて創造的復興が仕上がる。
 2020年東京五輪では、被災地が盛り上がっても、被災者に還元できる仕組みかが最大の問題だ。盛り上がれば盛り上がるほど、被災者は空々しく感じないように、被災地のメリットを被災者につなぐ仕組みが必要だ。
 福島に対しては、観光旅行や農産物、加工品の購入で、応援したいという割合が8割を超えている半面、水産物は低く、より原発事故の影響が出ている。
 原発の再稼働反対は福島県がトップ。当事者の恐怖が表れている。福島との対話を抜きにして国は施策を決めるべきではない。
 復興事業は金額を提示した後も、適正や不足と感じる各項目の順番に変わりはない。防潮堤や高台移転は費用がかかっても仕方がないと理解されており、除染や風評被害対策は足りないと認識されている。



アンケート結果の詳細をPDFファイルで公開しています。
https://www.kahoku.co.jp/img/news/pdf/shinsai_7years.pdf


2018年03月11日日曜日


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