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<点検・再始動 復興の理想と現実>生活基盤(3)気仙沼・共同店舗 計画にずれ 集客苦戦

人がまばらな共同店舗の広場

 3月上旬の日曜日。4カ月前にオープニングイベントでにぎわった広場は今、人の姿がまばらだ。
 東日本大震災前は「気仙沼市の顔」として市内随一のにぎわいがあった内湾地区。昨年11月に街開きした「南町紫神社前商店街」で中心的役割を担うはずだった共同店舗(20店舗)が、集客に苦しんでいる。

<開店以来赤字>
 共同店舗は被災した商店主らが建てた。「休日も平日もこんな状態」。飲食店を営む30代の女性はため息を漏らす。開店以来、赤字が続く。会員制交流サイトで営業に励むが、来店者が1日10人に満たないこともある。「人の流れがない。このままでは厳しい」
 津波で甚大な被害に遭った内湾地区は、震災前に1065(2011年2月末)だった人口が643(18年2月末)に減った。市は地区内の11.3ヘクタールで土地区画整理事業を進めるが、地権者との交渉に時間がかかるなどして当初18年度末の完成予定は2年もずれ込む。
 店舗前の道路や隣接する造成地の工事が終わるのは19年3月。周辺を今も重機が行き来する。商店街の坂本正人事務局長(60)は「工事現場の中に施設がある状況。お客さんが入りづらい環境だ」と説明する。
 人口減に事業の長期化が重なり、客足は遠のく。個々の事業計画のずれが、まちづくりの歯車を狂わせた。

<支援目的減る>
 震災の風化も追い打ちをかける。共同店舗の前身で11年12月にできた仮設店舗「南町紫市場」(17年4月閉鎖)には、被災地支援の名目で全国から多くの観光客が訪れた。1日10台以上の観光バスが来たこともあり、「12年には過去最高に近い売り上げがあった」と言う店主もいる。
 震災から7年。支援目的の観光客は減った。仮設時代の得意客に連絡しても反応は乏しい。出店者で組織し共同店舗を運営する合同会社「内湾南町商店街」の斎藤宏理事長(73)は「支援の熱は冷めた」とみる。
 災害公営住宅と併設する共同店舗の建設費は約14億円で、合同会社の前身の建設組合が建てた。グループ化補助金を活用し、災害公営住宅分は市が9億円で買い取ったが、1億数千万円は出店者の負担だ。安定収入がなければ、被災事業者は苦境に追い込まれる。
 斎藤理事長は「復興需要に頼るだけでなく、イベントを頻繁に開くなどして積極的に人を集める工夫が必要だ」と危機感を強める。
 店舗前の道路を挟んだ海沿いに今年10月、官民出資のまちづくり会社が整備する飲食店街が開業。11月には内湾で被災した市の交流拠点施設も復活する。新たに創出される人の流れの相乗効果を、にぎわい復活に生かすことができるか。
 南町紫神社前商店街の村上力男会長(76)は「今は我慢の時。地域一丸となれば、必ず魅力的な内湾を取り戻すことができるはずだ」と期待をつなぐ。(気仙沼総局・大橋大介)


2018年03月16日金曜日


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