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<仙台民泊事情・新法施行を前に>(上)現状 節約と体験 高まる需要

仙台市中心部にあるマンションの民泊施設。和室がインバウンドに好評だ

 住宅の空き部屋を旅行者に有償で貸す「民泊」が仙台圏でも広がっている。海外の観光先進国で定着している宿泊形態だが、日本ではここ数年の間に普及が始まったばかり。東京や関西では近隣とのトラブルが相次いだため、運営要件を規定した住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月施行される。政府が目標に掲げる2020年の東北の外国人宿泊者は150万人。その成否の鍵を握る民泊の現状と課題を伝える。(北村早智里)

 仙台市中心部のマンションに訪日外国人旅行者(インバウンド)が頻繁に出入りする。築約30年の2DKで、畳と障子の和室が人気の理由だ。
 「初めて畳の部屋に布団で寝た」「運営者からガイドブックにない店を紹介してもらった」。オーストラリアから来たマイケル・ウィリアムソンさん(21)とジャネビーブ・ローヤンスさん(22)は40泊に及ぶ日本旅行で節約する必要があり、民泊を選んだという。

<訪日客が続々と>
 民泊は長期滞在者や若者を中心に人気が高い。
 米国に本社がある民泊仲介サイトAirbnb(エアビーアンドビー)が14年に日本支社を設置してから物件が増え続け、今年3月現在で約6万5000件が登録されている。安価であることに加え、訪れた国の日常生活を体験できることも大きな魅力だ。
 観光庁によると、昨年のインバウンド消費額は4兆4161億円で過去最高だったが、1人当たりは2年連続で減少。節約・体験型の旅行が多くなり、民泊需要は増している。
 オーストラリアの2人が泊まったマンションは、市内の自営業男性が所有、管理。空き部屋1室を活用するためリフォームし、昨年4月に民泊を始めた。
 料金は2人合わせて1泊5000円。4人まで宿泊できる。月の平均稼働率は90%を超え、20万円以上を稼ぐ月もある。賃貸相場は5〜6万円とされ、民泊収入は4〜5倍にもなる。
 男性は「米国暮らしが長く、英語を話せるので問い合わせに応じられる。日本や仙台の良さに触れてもらうため、おいしい飲食店や観光スポットを紹介するなど工夫してきた」と話す。

<登録わずか17件>
 昨年の宮城県の外国人宿泊者は前年比32.4%増の23万2310人で、過去最高を記録した。仙台で民泊が広がり、若者や長期滞在者が訪れやすくなったことも要因に挙げられる。しかし、男性が運営する形態の民泊は現時点では合法と認定されない。
 民泊は現行の旅館業法に基づき、簡易宿所として行政に登録することなどが必要だが、男性は手続きをしていない。仙台は手続き不要の民泊特区でもない。
 仙台には現在、90件程度の民泊施設があるとみられる。市に登録しているのはわずか17件だ。
 市は仲介サイトを閲覧して無登録の民泊を探し出そうとしているが、容易ではない。担当者は「場所が判明しにくい写真が掲載されるケースが多く、登録を促す指導は進んでいない」と明かす。

[住宅宿泊事業法]民泊に特化してルールを定めた法律。都道府県に届け出をした家主は民泊施設の掲示などをした上で営業日数180日以下で民泊事業を営むことができる。違反した場合、1年以下の懲役や100万円以下の罰金などが科される。同法が施行される前から民泊の国家戦略特区に指定された地域では、旅館業法の適用が除外されている。


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2018年03月20日火曜日


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