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<週刊せんだい>災害弱者の自助・共助(4)在留外国人 地域社会に溶け込む

今年開催する語学イベントについて話し合う宮城華僑華人女性聯誼会の裘さん(左)と梅さん=仙台市青葉区の飲食店
ベテランボランティア(右)の声に耳を傾ける市災害時言語ボランティアの新規希望者ら=仙台市若林区のせんだい3.11メモリアル交流館
宮城県が作製した「外国人県民のための防災ハンドブック」(手前)と、SenTIAが作った「地震から身を守るためのアドバイス」

 大災害時の共助という点で、最も頼りになるのが地域社会のネットワークだ。日本に暮らす在留外国人にとって、地域との関係を保つことは、災害を生き抜く上で日本人以上に重要な意味を持つ。

<年10回のイベント>
 「この活字はこれくらいの大きさでいいかな」
 「もっと小さくてもいいかも」
 仙台市青葉区にある飲食店の一角。2人の女性が顔を付き合わせる。裘哲一(きゅうてついち)さん(47)と梅琴(めいきん)さん(51)。共に「宮城華僑華人女性聯誼(れんぎ)会」(仙台市青葉区)=?=の会長と事務局長だ。議題は今年開催予定の語学イベント。各所に配るチラシのデザインや、内容について意見を交わす。
 会は、東日本大震災をきっかけに2016年10月設立した。宮城県内在住の中国人女性(日本国籍を含む)の友好交流を目的に、17年は計10回のイベントを開催。言語だけでなく、生活習慣にまで掘り下げた日本理解を目指す。
 中国・上海市出身の裘(きゅう)さんは06年、外資系コンサルタントに勤務する夫と息子の3人で来仙した。震災時は、市内の自宅マンションで被災。不安でいっぱいな心情を和らげてくれたのは、日本人の「ママ友たち」だった。卵やパスタを分けてくれたり、卓上ガスコンロをくれたり、物心両面での支援がありがたかった。
 裘さんは「日本で暮らす以上、法律や制度を学び地域に貢献したい。いつまでも『弱者』でいては駄目です」と強調する。今後は日本人との交流にも積極的に取り組み、共助につなげるつもりだ。

<被災時に母国語で>
  災害発生時、言語ボランティアが母語で行う情報発信は、外国人被災者に自助・共助を促す上で重要な役割を担う。
 「外国で被災すれば皆不安に思う。同国人が母語で語り掛ければ安心感が全然違う」。2月24日、仙台観光国際協会(青葉区)が、せんだい3.11メモリアル交流館(若林区)などで開いた市災害時言語ボランティア=?=の研修会。来日20年以上のベテランスタッフが、新規登録希望者約20人に震災での経験を語った。
 近年は、急増するベトナムやネパールからの短期語学留学生への情報発信が課題だ。地域との関係が薄いため、せっかく発信しても届かない恐れがある。同協会国際化推進課の堀野正浩さん(42)は「受け入れ先の日本語学校と協力し、学生たちに普段から地域住民と良好な関係を築くことの大切さを訴えていきたい」と話す。

[宮城華僑華人女性聯誼(れんぎ)会]2016年10月設立。18年2月現在の会員数は72人。語学講座の他、「外国人社会制度の勉強会」「着物着付け教室」など硬軟織り交ぜたイベントを開催。中国版ソーシャルネットワークサービス「We Chat」で「心連心」のグループ名で情報交換を行う。連絡先はeliza0619@gmail.com

 仙台市災害時言語ボランティア 市が大災害発生時に発足させる多言語支援センターで災害情報の翻訳や、テレビ、ラジオなどによる情報発信、避難所での情報収集などを担う。英、中、韓をはじめ、ベトナム、インドネシアなど計17言語に対応する。18年1月末現在、65人が登録。約7割が海外出身者。

 仙台市内の外国人住民数 2017年4月現在1万1972人。内訳は、中国3753人(31.3)、韓国2003人(16.7)、ベトナム1372人(11.5)、ネパール1136人(9.5)、米国523人(4.4)、フィリピン477人(4.0)など。(かっこ内は%)

◎減災ワンポイント/出前型研修各地で開催

 宮城県国際化協会(MIA)は、県内各地で開く日本語教室に合わせて、出前型の防・減災研修を開催している。在留外国人の自助力を高め、共助につなげる狙いだ。
 宮城県は、災害時の対処法や備え、よく使われる日本語の単語などを収録した「外国人県民のための防災ハンドブック」を作成、県内の市町村窓口で配布している。日、中、英、韓、タガログの5言語表記。4月以降発行の改訂版では、ベトナム、ネパール、インドネシアの各言語にも対応する予定だ。
 「地震から身を守るためのアドバイス」(11カ国語)を作ったのは仙台観光国際協会(SenTIA)国際化事業部。仙台国際センター(青葉区)などで入手可能だ。
 防災研修や各冊子の入手に関する連絡先は、MIA022(275)3796、宮城県国際企画課022(211)2972、仙台国際センター交流コーナー022(265)2471。


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2018年03月22日木曜日


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