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<仙台民泊事情・新法施行を前に>(下)展望 郊外型 地域活性の力に

蔵王山水苑で民泊施設となる予定の別荘の室内

 住宅の空き部屋を旅行者に有償で貸す「民泊」が仙台圏でも広がっている。海外の観光先進国で定着している宿泊形態だが、日本ではここ数年の間に普及が始まったばかり。東京や関西では近隣とのトラブルが相次いだため、運営要件を規定した住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月施行される。政府が目標に掲げる2020年の東北の外国人宿泊者は150万人。その成否の鍵を握る民泊の現状と課題を伝える。(北村早智里)

 雄大な蔵王山麓に約550棟の別荘が並ぶ。宮城県蔵王町の「蔵王山水苑(えん)」。仙台から車で約1時間の東北有数の別荘地だ。
 6月施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく事業者登録が始まった今月15日、山水苑を管理するNコーポレーション(東京)は「住宅宿泊管理業」として国土交通省に申請した。認可されれば、別荘所有者の民泊業務を代行する形で事業を展開できる。

<山麓の別荘活用>
 山水苑は訪日外国人旅行者(インバウンド)に人気の宮城蔵王キツネ村(白石市)に近く、全戸に温泉が引かれている。
 「インバウンドは必ず気に入る」。同社蔵王事務所の宇田川敬之さん(45)は確信する。「東北では、山水苑のような別荘民泊に加え『農家民泊』も活用できる。組み合わせれば、地域活性化の効果が大きい」
 農家民泊は、農山漁村の伝統的な生活体験や住民との交流が目的の滞在型旅行。政府の地方創生政策の柱に掲げられた。宿泊料を徴収しないため、旅館業法の認可なしで営業できる。
 宇田川さんは「東北で増える空き家や耕作放棄地は、農家民泊にとって貴重な資源になる」と期待する。
 山水苑での民泊の将来性にいち早く気付き、既に事業を展開する業者もいる。
 全国の別荘地で民泊に取り組む旅行業「たびのレシピ」(仙台市)は2014年、山水苑の別荘2棟を簡易宿所として登録し、事業を始めた。別荘地に絞ったのは、都市部は価格帯と利用層がビジネスホテルと重なり、長期的に設備が整ったホテルと競うのは困難と判断したからだ。近隣トラブルも課題だった。
 佐藤秀彦社長(47)は「断りなく、マンションの隣室に知らない外国人が泊まっていたら違和感を覚えるのは当然。民泊施設と住民の日常生活はすみ分ける必要がある」と話す。

<規制の行方注視>
 宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の佐藤勘三郎理事長(56)は「民泊に拒否反応はない。地域活性化のためには賛成」と語る。昨年まで全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の会長代行を務め、民泊の議論を重ねた。自らが経営する旅館がある仙台市太白区秋保地区でも民泊を含む活性化策が検討されている。
 ただ、都市部での民泊には慎重だ。先進地の東京や京都で、条例を上乗せして規制を強化する動きが盛んになっているからだ。佐藤理事長は「インバウンドが少ない地域では民泊のマイナス要素がまだ見えていないかもしれない」と話す。
 営業日数を180日以下に規制するなど民泊事業者からは「営業妨害」とも批判される民泊新法。東北学院大の尾田基(はじめ)准教授(経営学)は「規制付きで合法化して民泊ができる素地をつくったことで、今後は逆に規制緩和に向けた動きが活発になる」と推測。「地域ごとに旅の特色が異なるように民泊も異なっていいはずだ」と指摘する。


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2018年03月23日金曜日


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