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<原発事故避難者集団訴訟>古里喪失の損害認定、東電に賠償命令 福島地裁いわき支部

古里喪失の損害を認める一方、認定額が低かった裁判結果を伝える原告側代理人=22日午後2時20分ごろ、福島地裁いわき支部前

 東京電力福島第1原発事故で古里が失われたなどとして、福島県双葉郡の住民ら216人が東電に慰謝料など計約133億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁いわき支部は22日、213人に計約6億1000万円を支払うよう命じた。判決は争点の「古里喪失」の損害を認定。巨大津波の予見を巡っては、現実的な可能性はないとの東電の認識を「著しく合理性が欠けるとまでは認められない」と判断した。
 全国で約30ある同種の集団訴訟で7件目の判決。古里喪失の損害認定は昨年9月の千葉地裁、今年2月の東京地裁に続いて3件目。国の賠償基準の中間指針を超えて認めた賠償額は少なく、原告側弁護団は同日、控訴する考えを示した。
 島村典男裁判長は判決理由で「地域生活が崩壊した」などと指摘。ただ、古里喪失と避難による精神的苦痛を分けて認定するのは「極めて困難」として、慰謝料を合算して算定した。
 中間指針を超える認定額は、帰還困難と居住制限、避難指示解除準備の各区域の原告が150万円、旧緊急時避難準備区域の原告が70万円。原発事故当時、福島県外にいた原告ら3人の請求は棄却した。
 巨大津波に関しては、政府機関が2002年に公表した大地震の発生確率に関する「長期評価」などを基に「東電は遅くとも08年4月ごろには、津波襲来の可能性を認識していた」と指摘。ただ、東電の認識に加えて、事故回避の対策を取らなかった対応も「著しく合理性を欠くとまでは認められない」と結論付けた。
 原告側は相手を国を除いて東電に絞り、1人当たり古里喪失の慰謝料2000万円と避難に伴う精神的苦痛に対する慰謝料月50万円を求めていた。判決後、代理人は「慰謝料額があまりにも低く、残念極まりない判決だ」と話した。
 東電は「判決内容を精査し、対応を検討する」との談話を出した。
 これまで6件の集団訴訟の判決はいずれも東電に賠償を命じた。古里喪失に対する賠償を求めたのは今回が4件目で、昨年10月の福島地裁判決は中間指針を超える損害を認めず、判断が分かれていた。


2018年03月23日金曜日


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