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<あなたに伝えたい>コロッケの味 覚えているよ

新居を見詰める竹谷さん。雪子さんらとの思い出も、新たな住まいに盛り込んだ=宮城県女川町

◎竹谷悦郎さん(宮城県女川町)佐藤雪子さんへ

 悦郎さん 仕事で忙しくしていた母の代わりに、小さい頃から私たちきょうだいの面倒を見てくれましたね。保育所に向かう道中で「行きたくない」「歩きたくない」と駄々をこねる私をおぶってくれたね。怒っている姿は数回しか見たことがありません。温厚で優しい人でした。
 私が小学生の時は、自宅の庭の一角で美容室を営んでいました。仕事をして、私たちの世話もして、すごく大変だったと思います。
 おばあさんは料理上手で、今でも「おばあさんのコロッケやカレーが食べたいね」と家族の話題になります。母も同じメニューを作っては「まだまだだな」と言っているよ。味の記憶は曖昧になりつつあるけれど、食べた時の「おいしい!」という感動は今でもしっかりと覚えています。
 今月、ようやく仮設暮らしを終えて新居での生活が始まります。家の間取りは、おばあさんたちと住んでいた家の話をしながら決めました。和室のふすまには昔のふすまと似た絵柄を使いました。台所はきれいになったから、おばあさんが見たらきっと喜ぶんだろうな。
 昔の家にはおばあさんが手入れをしていた花壇があって、私はよくそこで、虫取りなどをして遊んでいました。小さい頃は花に興味はなかったけれど、今は花の香りを嗅ぐと懐かしさがこみ上げてきます。
 新居にも小さいながら庭があるので、おばあさんを思いながら家族で花を植えるつもりです。

◎面倒を見てくれたおばあさん

 佐藤雪子さん=当時(73)= 宮城県女川町宮ケ崎地区で、夫の昭吉さん(2012年に死去)、長女、竹谷悦郎さん(20)ら3人の孫と一緒に暮らしていた。東日本大震災の地震の後、昭吉さんと共に近くの親族宅に避難したが、1人で自宅に戻って津波に巻き込まれ、行方不明となった。


2018年03月25日日曜日


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