Bar酔粋駅近

2017.06.15号掲載

酔粋駅近

広瀬通駅西4出口から5分ほど。一番町のアーケードから1本細路地に入ったビルの地下にある。店名は「一人で切り盛りしている、一人でも気軽に入れる店」という意味で「一」。料理人として新たに一からスタートするつもりの意味も込めた


通うと不思議ととりこに

[地下鉄南北線 広瀬通駅]
酒場 一(いち)

湿った天気の日が多いけれど、夏の予感にうきうきするこの時季。足取り軽やかに向かう本日の店は、「酒場 一」というカウンターのみの小さなお店だ。いつもの相方が来るまで、ひと足早く一人飲みにと「とりあえず」見渡した壁には「生ビールありません」と張り紙が。「珍しいよね」と言えば、茶目っ気たっぷりに「NOと言える店を目指しています」と店主の佐藤文律(ふみのり)さん(43)。聞けばただビールサーバーを置く場所がないからで、もちろんこちらは瓶ビールでも大歓迎。新しょうがの甘酢漬けとともにおいしくいただいた。
佐藤さんは日本料理店などで和食を中心に腕を磨き、5年前に店を開いた。旬の食材の彩りある味わいを楽しめ、薄味で薬味や香りのアクセントを利かせた料理が人気だ。「体調を整えてないと味がぶれちゃうことも。それをまた常連さんは気が付くんですよ」と、困ったようなうれしいような表情で話す。メニューはあってないようなもの。好みや食べる順番によって調理法を変えたり味の加減をしたり。大きな店でも働いてきたが、客との距離が近い今のスタイルが楽しいと話す。
「まず料理がおいしい。親方はこう見えて結構繊細なのよね」と魅力を語るのは近くの会社に勤める女性3人組。夜はもちろんランチにも通うファンだ。「生ビールがないのをきっぱり言うとこなんか最初は変わっていると思った」とご夫婦で通う演奏家の常連客。「でもこう見えて気配り上手でね…」となぜか皆さん、枕詞のように「こう見えて」を連発。カウンター越しに行き交う料理と弾む会話にこちらも楽しませてもらった。
相方も合流して日本酒で乾杯。あてには新メニューの「ホヤクリームコロッケ」を頼んだ。三陸のホヤは震災被害から復活したものの、売り先が減り廃棄されている悲しいニュースがあった。「小さい店だけど、いろいろな食べ方を提案して少しでも消費につながれば」と佐藤さん。もちろん、こちらも食べて応援。取りあえず、お酒をもう一杯!

文/関口幸希子
写真/佐藤英

メニューから

ホヤクリームコロッケ(1個320円)

サクサクの衣の中にはホヤとホワイトクリーム。ホヤはその日の朝取れた鮮度の良いものを使用。ボイルして軽く干し、うま味を凝縮させている。見た目は洋風、味わいはほんのり和風と、意外な相性の良さでお酒が進む。この日は他に、トウモロコシのかき揚げ、新しょうが甘酢漬け、出し巻き玉子シリーズ明太子、自家製カレーなど。飲み物はビール、日本酒などを頼み、会計は2人で8230円。

酒場 一(いち)

  • 青葉区国分町1-6-1
    ルナパーク一番町ビル地下1階
    営/18:00~翌1:00(閉店時間が早まる場合もある)
    休/日曜(予約があれば営業、振替休あり)
    ℡022‐265-3227

仙台市営地下鉄南北線 広瀬通駅最終電車
泉中央行 24:01(金曜24:13)
富 沢 行 23:57(金曜24:09)

※価格は商品(1点)の総額 (本体価格+消費税)

女性ライター2人が、仙台市地下鉄沿線を中心に、駅近くのすてきなお店を紹介する連載「酔粋駅近」。
毎月1回掲載予定です。