Bar酔粋駅近

2017.08.24号掲載

酔粋駅近

2015年3月にオープン。店の名は繭司さんの繭(まゆ)の字からイメージした。今年5月、近くに姉妹店「長町酒場まゆだま」がオープンした


旅して見えた 地元への愛

[地下鉄南北線 長町駅]
長町酒場 蚕(SAN)

夏真っ盛りのはずが、ぼやけた天気が続く。おまけに約束の日は台風と重なってしまった。ざあざあ降りの雨にも負けず向かったのは「長町酒場 蚕(SAN)」だ。仙台市地下鉄南北線長町駅南1番出口から2分ほどのビルの2階にある。カウンターに座ってまずはビールで乾杯。いつもの相方は泡盛古酒のロックだ。
メニューはバラエティーに富んでいて三陸の魚介も並ぶが、なぜか沖縄料理が多い。天然モズクや島ラッキョウなど沖縄直送の食材もあり、なかなか気合が入っている。「お客さんの要望で増えちゃったんです」と店主の柿沼繭司(けんじ)さん(37)。爽やかな笑顔に、スタッフとそろいのTシャツがやけに似合う。聞けばこの店を開く前に、沖縄・宮古島でバーを5年半営んでいたとのこと。さらにその前は大学時代のワーキングホリデーをきっかけに、20代のうちにお金をためて奥さまとアジアをはじめアフリカ、ヨーロッパ、北アメリカと1年かけて世界中を旅して回ったそうだ。
インドの小さな町の食堂での地元の人と交流した話など、旅先でのエピソードにわくわくする。泡盛ハイボールにラフテーをつまんで、心は沖縄の青い空へ。相方と以前訪れた沖縄の思い出話に花を咲かせた。
悪天候の中、店はどんどん混んできた。職場が近いという常連の男性客は同僚を連れて来店。「長町にこれまでなかった雰囲気の店。沖縄料理だけでなくどれを食べてもおいしい」とご満悦の様子だ。カウンターで一人飲みしていた男性は「週に3、4回は来る」という常連さんで、柿沼さんの同級生だそう。柿沼さんのお店のおかげで同級生を中心に新たなつながりも生まれる場ができたと、うれしそうに話してくれた。「あちこちを旅しながら、地元の人のためのお店をやりたいと思ったんです」と柿沼さん。都市開発で変容する長町。旅をするからこそ見えてくる地元の良さもあるんだろうな。旅を思う。古里を思う。やはり似合うのはまぶしい太陽だ。雨がやむのを祈ってもう一杯いただこう。

文/関口幸希子
写真/佐藤英

メニューから

「ラフテー」880円

ほろりと箸でほぐれる肉とふわとろ食感の脂がたまらなくおいしい人気の一品。豚バラ肉を泡盛とだし、醬油、黒糖で煮込んだ沖縄の郷土料理だ。軟らかさの秘密は手間と時間をかけて余分な脂分をしっかり落としていること。この日は他に、ポップコーンシュリンプ、女川朝採れホヤ刺し、ゴーヤーチャンプルー、ミミガー唐揚げ、タコライスなど。飲み物はビール、泡盛、日本酒、ビワミンジュースなど。会計は3人で8020円。

長町酒場 蚕(SAN)

  • 太白区長町5-2-1 丸源ビル2階
    営/17:00~翌1:00
    休/月曜(10月から無休)
    ℡022-226-7511

仙台市地下鉄南北線 長町駅 最終電車
泉中央行 23:51(金曜24:03)
富 沢 行 24:07(金曜24:19)

※価格は商品(1点)の総額 (本体価格+消費税)

女性ライター2人が、仙台市地下鉄沿線を中心に、駅近くのすてきなお店を紹介する連載「酔粋駅近」。
毎月1回掲載予定です。