Bar酔粋駅近

2017.10.19号掲載

酔粋駅近

10月でオープンからちょうど1年。丁寧に素材を生かした料理を求め、早い時間から人が集まる。高橋さんは帰る客だけでなく、入れなかった人も一人一人外へ出て見送っていた


満腹の余韻 秋空に響く

[地下鉄東西線 宮城野通駅]
榴岡 銀杏(いちょう)

本日の目当ての店は、仙台市地下鉄東西線宮城野通駅から出てすぐ。広い通りに面したビルの1階に「銀杏」と控えめな看板を掲げる。以前から前を通るたびにこざっぱりと上品なたたずまいが気になっていた店だ。店内もすっきりした和の雰囲気。カウンターに座り、いつもの相方と日本酒で乾杯、ゆるりと今宵の宴を始めた。

さて、とメニューを開くと旬の味覚が満載。ぼやけた夏のせいか、いまひとつ実感がなかった秋を見つけて心が躍った。がぜん、食欲に火が付く。

「和食の魅力は季節感にあふれているところ」と店長で調理長の高橋伸也さん(34)。和食一筋にホテルや仕出し料理店などで経験を積み、昨年10月、系列店の中で新規立ち上げとなったこの店を任された。石巻から直送の魚介をはじめ、宮城の食材を生かした本格和食を気軽に楽しめるようにと価格を抑えて提供している。

それでは、と人気の「松茸(まつたけ)の土瓶蒸し」を注文。ふわり香る汁と日本酒を交互に味わい、日本らしい料理だな、としみじみ。

カウンターで楽しげにワインボトルを空けていた女性の2人連れは、「味はもちろん、一番は親方の爽やかな人柄」とお気に入りの理由を話す。オープンキッチンなので自分たちが注文した「〆サバの藁(わら)炙り」の炎の上がる様子にテンションが上がったとか。「調理中の手元を見ながら飲むのは楽しい」という言葉に全くもって同感だ。

「昨夜の中秋の名月に月見団子を振る舞った」と聞いたので、風流だなと和の粋な心に感心しつつ、(食い意地で)次はいつかと聞いたら「ハロウィーン?」とお茶目な高橋さん。いや既に日本の行事かも。和で表現するハロウィーンをぜひ食べてみたいと思った。

鍋の締めのご飯で満腹になり、わらび餅など心残りのメニューはまた今度。今日もいい店だった。帰りの空の丸い月に満腹のおなかの音がぽんぽこと響いた(かもしれない)。

文/関口幸希子
写真/貴田則男

メニューから

「鴨つみれとはっとのセリ鍋(2人分)」1900円

上品ですっきりとしたうま味のあるアゴだしとカツオだしの汁は、温まるうち鴨つみれの味わいも溶け出しうま味が深まる。セリやワカメはさっとしゃぶしゃぶで。締めにご飯もいただける。注文は2人分から。この日は他に、浅漬けザーサイ、豆腐と餅の揚げ出し、松茸土瓶蒸しなど。日本酒などを飲み、会計は2人で9000円。

榴岡 銀杏

  • 宮城野区榴岡1-7‐15 サニービル101
    営/17:00~24:00(LO23:00)
    休/日曜
    ℡022-766-8553

仙台市地下鉄東西線 宮城野通駅 最終電車
八木山動物公園行 23:57(金曜24:09)
荒井行      24:01(金曜24:13)

※価格は商品(1点)の総額 (本体価格+消費税)

女性ライター2人が、仙台市地下鉄沿線を中心に、駅近くのすてきなお店を紹介する連載「酔粋駅近」。
毎月1回掲載予定です。