Bar酔粋駅近

2018.03.22号掲載

酔粋駅近

物騒な店名は同名の小説から取った。作者へ手紙を書いて了解をきちんと取ったそうだ。ユニークなメニュー名や駄じゃれの利いた掲示物など、店内には小さな“ニヤリ”がたくさん隠れている。宝探しのように一つ一つ見つけるのも楽しい


店名によらず値段は良心的

[地下鉄南北線 広瀬通駅]
煮物料理 熟成・発酵 ぼったくり

日脚が伸びてきた。近づく春を感じ、酒場へ向かう足取りも軽くなる。今夜目当ての店の名は「ぼったくり」。仙台市地下鉄広瀬通駅西5出入口から国分町方面へ徒歩5分の、雑居ビルの3階だ。ドアの横の看板(?)には味のある字で「靴をぬいでください」とある。そう、座敷でもじゅうたん敷きでもないが、この店では入り口で靴を脱ぐ。うっかり「おはよう靴下」をはいてこようものならかなり恥ずかしい。その上、店に上がるとメニューに「土足一歩2000円」なんてある。もちろんこれは店主の高橋聡さん(38)のお茶目なジョーク。

カウンター席に落ち着き、日本酒を注文。銘柄を高橋さんに任せると栃木の「朝日栄」を選んでくれた。ビールの相方と、まずは乾杯。本日のお通しはキュウリのつくだ煮と、真たらこのキムチ漬け。つくだ煮は約2年、たらこは3カ月の熟成ものだという。これが実にうまい。ちびちびつまみつつ飲んでいたら、瞬く間にお酒がなくなってしまい燗(かん)酒を追加した。

熟成と発酵は店のコンセプト。高橋さんはさまざまな自作の調味料を駆使して料理を作る。味噌、醬油、塩こうじ、魚醬など、店の片隅の棚は発酵・熟成中の調味料、酒の瓶でいっぱいだ。半年寝かせたニラ醬油たれで味付けした「13バンバンヂー15」(何と読むでしょう?)や、土鍋にぐつぐつあんかけで出てくる「すき焼出汁(だし)巻き玉子」。どれも絶妙な味付けで酒が進む。

高橋さんが発酵、熟成と本格的に取り組んだのは店をオープンした約2年前から。「すぐ結果が出ないところが面白い」。おっとりと話す一方で「いつか物々交換で暮らせる村をつくりたい」と壮大な夢も持っている。「その村に住みます!」「私も」と相方ともども未来の村民宣言をしたら、何だか高橋さんが発酵の妖精に見えてきた。酔いが回ってきたようだ。そろそろお会計を。店名は物騒だけど、料金は至極まっとう、良心的。安心してご来店ください。

文/佐藤陽子
写真/貴田則男

メニューから

「××(ちょめちょめ)焼売(シューマイ)」
2個で500円

食べ応えたっぷりの大きな焼売。××なのは材料が秘密のため。豚肉のようだが実は…。ぜひ食べて当ててみて。文中の料理の他、「薫製煮豆とクリイムチイズ」「自家製バニラアイス古酒かけ」「発酵あんこクリームチーズ入り糠(ぬか)パン」を食べ、日本酒あれこれとハートランドビール1本、カメラマンがウーロン茶を飲み8300円。

煮物料理 熟成・発酵 ぼったくり

  • 青葉区国分町2-1-13 ハイマートビル3階
    営/火~土曜 18:00~翌2:00
      日曜   14:00~20:00
    休/月曜
    ℡022-211-7747

仙台市地下鉄南北線 広瀬通駅 最終電車
泉中央行 24:01(金曜24:13)
富 沢 行 23:57(金曜24:09)

※価格は商品(1点)の総額 (本体価格+消費税)

女性ライター2人が、仙台市地下鉄沿線を中心に、駅近くのすてきなお店を紹介する連載「酔粋駅近」。
毎月1回掲載予定です。