Feature特集

鉃道大好きオヤジとぶらり旅

2017.08.17号掲載

宮城の酒を支える
女性たち


日本酒愛語る
ここ数年、宮城の蔵元で生き生きと働く女性が急増中! その昔、女人禁制の時代もあった日本酒蔵だが、今や女性のパワーは欠かせないものになりつつある。彼女たちの横顔をご紹介しよう。(よ)

※いずれの蔵元も直接販売は行っていません。酒販店などでお買い求めください

蔵を見学に訪れた人たちに、酒造りの設備について説明する川名さん=今年3月


女性の視点を生かしたい

醸造講習が転機に
 

まず訪ねたのは「黄金澤」「橘屋」を醸す美里町の酒蔵「川敬商店」。全国新酒鑑評会14年連続金賞の同社で、5年前から酒造りに携わるのが川名由倫(ゆり)さん(29)だ。

川名さんが家業を継ぐ意志を固めるきっかけになったのは、2012年秋に受けた酒造従事者対象の醸造講習だった。「東京開催だったので、お休みの日には遊べるかもというよこしまな(笑)気持ち」で参加した講習は、40日間かけ酒造りの知識と技術を一から勉強する本格的なもの。たまに手伝うだけだった蔵仕事の意味を初めて知り、近年の日本酒業界衰退の歴史などを学んだ川名さんの中に、一つの思いが頭をもたげた。

「男性社会といわれる家業の家に一人っ子、しかも女性で生まれた意味は何だろう」

講習を終え蔵に戻るとすぐ、社長で父親の正直さんらとともに酒造りに初めて挑んだ。「それまでは蔵を継ごうなんて思ってなかった。ノリですよ、ノリ」。ちょっぴりおどけてみせた後、「でも誰に言われたのでもなく、自分が責任を持って決めたこと」と表情を引き締める。


消費者とも交流

それ以来、県内外の酒蔵関係者の集まりに物おじせず飛び込み、5年間で交友関係も大きく広がった。宮城県酒造組合が現在準備を進める「女性部会」では幹事の一人を務める。

「男性社会の中で強くならなくちゃ、と今まで気を張り過ぎていたことに最近気付いた」と話す川名さん。「これからは女性らしい柔らかな気持ちで仕事に取り組んで、それをより良い酒造りやお客さまへの楽しい提案につなげていきたい」と意気込む。

酒の会や試飲会にも積極的に参加し、消費者と交流を深めてきた。最近は飲む側にも若手が増えてきたことを肌で感じている。

「お酒には場を和ませ、人と人をつなぎ、温かい思いにする力がある。酒造りを仕事にできて私は幸せだと思います」

 

女性部会って?

宮城県酒造組合は、県内の酒蔵に勤務する女性が近年増えてきたことを受け、県酒蔵技術者交流会の中に「女性部会」の設置を準備中だ。同組合技術担当参事の伊藤謙治さんは「各蔵の女性同士でネットワークをつくって、情報交換し親睦を深めることが、職場への定着にもつながるのではと期待しています。県産酒の品質向上という同じ志を持つ方々が男女の区別なく働けるよう、環境づくりを手伝っていきたい」と話す。

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