Feature特集

昭和リバイバル

2017.11.16号掲載

おでんが好き

木枯らしの冷たい日は、なんといってもおでん。立ち上る湯気と心和む優しい味。ハフハフしながら頬張れば、おなかの底からじんわり温まる。コンビニのおでんも手軽でいいけれど、たまには手作りもいかが。「仕込みが面倒…」と反射的に顔をしかめたあなたにこそ読んでほしい、今すぐおでんを作りたくなる特集をお届けします。(あ)
※価格は商品(1点)の総額(本体価格+消費税)

熱々で心もぽかぽか

意外な隠し味

おでんについて聞こうと訪ねたのは、笹かまぼこの製造メーカー「鐘崎」本社。仙台市内など5カ所(系列店含む)で展開する体にやさしい和総菜専門店「杜のこんだて」の製造部門チーフを務める内海清人さんが、おいしいおでんの作り方を伝授してくれた。

まずはベースとなる「だし」。「市販のだしパックで取っただしに醬油を加えると簡単」と内海さん。昆布+カツオのだしが一般的で、煮干しを使ったり、鶏だしを加えたりしてもいいそう。ポイントは醬油で、「薄口と通常のものを2対1で合わせるのがお勧め」だとか。薄口は、醬油の風味を主張しすぎないので素材の味がより生きるという。東北ではなじみが薄いが、この機会に試してみては。

「実はとっておきの隠し味があってね」とここで、内海さんがニヤリ。「オイスターソースを4人前につき小さじ半分ほど入れると、劇的においしくなるんですよ」。なんて簡単な裏技なんだ。

だしの味付けの目安は「吸い物としてそのまま飲める濃さ」。煮るうちに具材からも味が出るので、控えめにスタートしよう。

面倒でも下ゆで

次に具材の下ごしらえ。不動の一番人気、大根は「面倒でも米のとぎ汁で下ゆでを」と内海さん。臭みが取れ、味染みが良くなるそうだ。とぎ汁の代わりに米を一つまみ加えた水でもOK。時間は大根の厚み1㌢あたり10分が目安。竹串が抵抗なく通る固さにゆでたら、流水でよく洗おう。

コンニャクは格子状に切り込みを入れ、やはり臭みを取るため5分ほど下ゆで。さつま揚げなどの油調理品は基本的に熱湯をかけて油抜きをするが、鐘崎の商品のように、油抜き処理済みでそのまま使えるものも多いので、よく確認しよう。


あまり煮込まず

具材がそろったら、いよいよ鍋へ投入だ。内海さんによれば、「煮込みは20分。練り物は最初から入れず、最後の3分だけ加える」のがベスト。意外に短い。煮込めば煮込むほどおいしくなるというのは思い込みのよう。練り物は長時間煮ると食感が悪くなるうえ、他の具材に味が移り「全部同じ味になってしまう」(内海さん)。鍋は保温性の高い土鍋が最適で、火加減はだしの表面がゆらゆら揺れる程度の弱火をキープ。

さて、20分たったら完成と思いきや、「おいしくなるのは、ここからですよ」と内海さん。火を止め自然に冷める間に、具にじわ~っと味が染みていく。なるべくゆっくり冷まし、食べるときに再度温めるのがいいそう。なるほど、冷めにくい土鍋の使用を勧めるわけはこれだ。

最後に変わった具材のアイデアを尋ねると、「一番好きなのは厚焼き玉子。さっと煮ると、だしをたっぷり吸ってふわふわになり、そりゃあうまいですよ」。豆もやしやセリをさっと茹でたもの、プチトマト(品種はアイコがいち押し)なども、仕上げに加えると彩りがよく味のバリエーションが広がるそう。はぁ、聞いているだけでおいしそう。今日の晩ご飯はおでんで決まり!

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