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健康の医学教室

身近な病気や症状について、東北大医学系教授らが最新情報を伝える

東北大大学院
医学系研究科行動医学分野
教授 福土 審 さん

1983年東北大医学部卒業。医学博士。同大病院心療内科助手、米デューク大学医学部研究員、東北大病院助教授などを経て、99年から現職。心療内科科長を兼任する。専門は心身医学・行動医学、過敏性腸症候群。

【テーマ】今日のストレス病と対処法

ストレスの影響認識し
心理・薬物療法で対応

ストレスは、ストレッサー(生体に加わる刺激)によって、生体に生じるひずみで、さまざまな形になって現れます。

若い女性に多い摂食障害も、ストレスが一因となっています。代表的な疾患は「神経性やせ症」と「神経性過食症」です。ダイエットしてやせた状態を維持しようと拒食を引き起こします。その反動で過食に陥り、食べた物を吐いたり下剤を使ったりする人もいます。重症化すると歯が抜け、脳が萎縮するなど老化を早めます。また各臓器に影響して合併症を起こし、患者の5人に1人が亡くなっています。身近な人が気付いて受診を勧めてほしいのですが、本人に病気という意識がないため治療に消極的で、重症化する傾向があります。東北大病院の心療内科は摂食障害支援センターに指定され、相談窓口にもなっています。

脳の働きの悪化生じる

ストレスはさまざまな影響を人体に及ぼします。東日本大震災の後、心不全の増加やパニック障害、うつ病の発症など、ありとあらゆる体の異常が見られました。

私が専門とする過敏性腸症候群(IBS)もストレスが大きく関係しています。ストレスがあると、最初に脳が受け止め、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンを分泌します。このホルモンが脳の中に増えてくると胃腸が刺激され、特に腸の働きを悪化させるのがIBSです。腸の状態がおかしくなると、それがストレスになってさらに脳の働きを悪化させる悪循環を生みます。「ストレスは心因性の病気だから心の持ち方で治る」というのは誤解です。強力なストレスが起きると、脳の中では細胞が死んでしまうような変化が起こっています。

海外でも「瞑想」に注目

ストレスに気付いたらその原因を知り、自分がどういう感情を持っているのか、過度に神経質になっていないかを認識することが大切です。そして、食生活の乱れや睡眠不足などを調整し、規則正しい生活を心掛けてください。音楽を聴く、散策するなどリラクゼーションも必要です。最近国際的には「瞑想(めいそう)」が注目されています。軽い運動で筋肉を緩め、体もリラックスさせましょう。自分が体験したことを日記など文章にしたり、誰かに話して気持ちを発散させたりするのも一つの解決方法です。

ストレスで病的状態になったら、一定の薬をきちんと使って治療することを勧めます。依存性など誤解があって服薬をためらう人も少なくありませんが、薬の性質を理解し、副作用も知った上で、プラス効果を考えて使うことが大事です。(7月25日講演)