カンヌ国際映画祭報告2008

5.地震被災者に黙祷

2008/5/20

 映画祭が折り返しを迎えた18日の夜、今年最大のイベント、スピルバーグ監督の「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」のプレミア上映が華やかに行われました。

 今回の舞台は東西の冷戦まっただなかの1957年。インディ(ハリソン・フォード)は、助けを求めにきた青年マット(シーア・ラブーフ)を連れ、宇宙を支配する力を秘めたクリスタルの髑髏(スカル)をめぐって、ソ連の科学者イリーナ・スパルコ(ケイト・ブランシェット)の野望を打ち砕くために、5000年前に南米で栄えたアカトール王国の謎を解き明かす、というストーリーです。私達プレスは一足早く午後の上映で見たのですが、場内が暗くなるや待ちきれない客席から拍手が起こったり、ジョン・ウィリアムズ作曲のテーマ曲を歌ったり。普段は辛辣な批評家たちも、19年ぶりに復活した4作目の“インディ”の長い長いジェットコースターのような大活躍を手ばなしで楽しみました。

 その前日、コンペティション部門の中国映画、ジャ・ジャンクー監督の「24シティ(二十四城市記)」の上映と記者会見がありました。「24シティ」とは、四川省成都にある巨大な工場を壊して作られる高級マンションを含む複合施設のこと。10年近く前から、現代の中国を代表するような場所を探していた監督が、成都にある、元は軍用機の工場として発足した50年の歴史を持つ“420工場”が壊されるのを知り、そこで働いてきた100人以上の人々にインタビューしてつくりあげた、庶民の目から見たひとつの現代中国史です。

 成都のある四川省は先の地震で大きな被害を受けたところでもあり、1年3カ月に及ぶ撮影期間を成都で過ごしたジャ監督は、「とても他人事と思えず、私にとっても大きな悲しみである」といい、記者会見場の出席者に呼びかけて、地震の被害者のために、皆で1分間の黙祷を捧げました。

筆者紹介

齋藤敦子さん  映画評論家。パリで映画編集を学んだ。フランス映画社宣伝部から90年にフリーとなる。G・ノエ、グリーナウェイの諸作品を字幕翻訳。  最新作は「麦の穂をゆらす風」。「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫)「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。