デスク日誌

「米内は嫌い」

 社会面に、と思った原稿を、総合面のデスクに持っていかれた。今月14日付の朝刊3面に載った米内光政(盛岡市出身、1880〜1948年)の証言録。
 米内は太平洋戦争終結時の海軍大臣。終戦工作に関わり、「良識派」といわれた。しかし、終戦に至る内幕を米調査団に証言した中に、兵や国民の犠牲に触れた言葉はなかった。記事にコメントした歴史学者は「天皇制維持のため、国民の犠牲もいとわなかった当時の戦争指導者の無責任さ」を指摘した。
 「山本五十六も米内光政も嫌いです」。旧海軍を代表する戦闘機乗りの一人で、特攻隊の生き残りでもある角田和男さん(1918〜2013年)の言葉を思い出す。02年春、茨城・霞ケ浦の北岸にあるお宅に伺った際、旧海軍のカリスマ2人を痛烈に批判した。
 「米内さんは昭和天皇の信任が厚かった。開戦の非、戦争継続の非を命懸けで説けば、あんなにも人が死なずに済んだはずです」
 世を見渡せば、罪なき人々を泣かせる事象が今もあちこちで起きている。組織防衛が先で、責任の所在はあいまい。われわれは、もっと怒るべきなのだ。
(整理部次長 野村哲郎)


2018年08月31日金曜日


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