デスク日誌

太陽フレア

 北海道胆振(いぶり)東部を震源とする9月の地震では、道全域が停電する「ブラックアウト」が起きた。それを予言するかのような小説が昨年12月に出ている。
 第5回ハヤカワSFコンテスト最終候補作の『赤いオーロラの街で』(早川書房)。北海道・知床半島の斜里町を舞台に、世界規模の大停電に直面した人々の奮闘ぶりを描く。
 酪農家は停電で搾乳器が使えず、牛が乳房炎になってしまう。人手を集めて乳を搾るが、加工できず、生乳は廃棄せざるを得ない。電車は運休。銀行のATMは動かない…。
 小説に書かれていたことが、2カ月前の北海道で現実となった。小説では、未曽有の停電を招いたのは太陽での大規模な爆発、太陽フレアの発生に伴う磁気嵐の影響による。
 巨大フレアは時に、地球の磁気圏を大きく乱すという。電線に大電流が流れ、変電所の変圧器が壊れたりする。実際、1989年3月には、カナダで大停電が起きている。
 小説の解説で研究者が、日本のフレア対策は緊急の課題だと警告している。磁気嵐による停電は決して絵空事ではない、と知った。
(論説委員 古関良行)


2018年11月08日木曜日


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