デスク日誌

入社前の社報

 昨年11月に亡くなった祖母の法要で帰省した折、遺品を片付けていたら、古い社封筒が5通出てきた。宛先は学生時代の下宿。開けてみると、赤茶けた社報が入っていた。1988年10月号から89年2月号まで。すっかり忘れていたが、就職内定後に会社から毎月、届いていたらしい。
 卒業、就職のどさくさに実家へ送った不用品の中に紛れていたのだろう。同じく変色した古い雑誌などと一緒に風呂敷に包まれ、たんすにしまってあった。
 「新聞記者になる」と言ったら、あまりいい顔はしてくれなかった。それでも孫の就職先が気になって目を通していたのだろうか。
 一枚一枚開いているうちに、あっと言う間に時間が過ぎた。先輩記者の特ダネ表彰やソウル五輪取材の出張報告など、思わず手を止めて読みふけっていた。
 特に昭和天皇が崩御された89年1月7日の社内ドキュメントは、今上陛下の退位が近づいているだけに胸に迫る感慨がある。
 「30年もよく取っていてくれたね」。ずぼら学生に代わって保管してくれていた祖母に、いま感謝を伝えるすべは遺影に手を合わせるしかない。残念ながら。
(山形総局長 昆野勝栄)


2018年12月26日水曜日


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