デスク日誌

ミルフィーユ 

 あっ、また入った。
 深夜の編集局。端末をのぞくと、積み重なるように記事の仮見出しがどんどん表示される。空腹も手伝い、画面がお菓子のミルフィーユに見えてきた。
 この春の異動で、通信社が配信する記事の選択と編集に当たっている。要点や行数を記した予定表が配られ、ピーコと呼ばれる音声案内やプリンターから出る紙で到着の見通しを知らせてくれる。悩ましいのはその数の多さ。ある日の担当分野だけで差し替えや出稿連絡を含めて500本を超えた。目と頭が追い付かなくなり、隣席の先輩方にしばしば助けていただく。
 旬の話題、必要性、連続性と載せる基準はさまざま。夕方にまとめた掲載予定が大幅に変わることがよくある。「ニュースは生き物と同じなんだ」と改めて思い知らされる。
 考えを巡らせるうちに「ミルフィーユ」の層が増え、紙面のメニューがまたも変更になった。実に油断がならない。降版間際まで端末画面とのにらめっこが続く。作業に慣れる日が来る予感はまるでしないが、一つだけ確信を得た。本物のミルフィーユと違って全然甘くない。
(整理部次長 沼田雅佳)


2019年04月26日金曜日


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