デスク日誌

子育てを託す

 何年か前の夏、取材で仙台市内の雑木林を歩き回っていると、ナナカマドの木に鳥の巣を見つけた。
 モズだろうかと思って近づくと、全身しま模様のひなが小枝を組んだ巣からはみ出している。どこが顔かなと思って見たら「これが俺の顔だぁ」と言わんばかりに真っ赤な口を開いた。カッコウだった。
 カッコウは託卵する夏の渡り鳥。モズの卵が3、4個になると、そのうちの1個を外に放り出し、自分の卵を1個産み付ける。数を合わせるのは気付かれないようにするためか。モズにもカッコウにも算数の能力が備わっているらしい。
 ナナカマドの木の巣にはもう、1羽のカッコウのひなしかいなかった。モズのひなは巣から追い出されてしまったのだろう。
 しばらくカメラを構えていると、カッコウのひなは羽を震わせ、育ての親を飲み込むほどの大きな口を開いて餌をねだった。近くでは「子育て頼んだぞ」と言わんばかりに、カッコウが鳴いていた。
 これが自然のありようだと頭では分かっても、この目で見るとやりきれなくなる。厚かましさにあぜんとするしかなかった。
(写真部次長 及川圭一)


2019年07月24日水曜日


先頭に戻る