デスク日誌

よみがえる1951

 姉妹紙「石巻かほく」を発行する三陸河北新報社は、68年前の石巻地方の日常や風景を紹介する写真集「よみがえる1951」を出版した。東松島市に駐留していた米軍医の故ジョージ・バトラー大尉が撮影し、同紙の日曜1面で連載中の写真をまとめた。
 当時は希少なカラーフィルムで捉えた港町の表情は豊かだ。花嫁道具を運ぶ荷馬車、3メートル超の丸太を担ぐ労働者、野菜や花の行商。小学校に猿回しが来た一枚は、自分の父母と同世代の児童の素朴な驚きが切ないほど伝わる。まさに戦後日本の原風景がよみがえる。
 昔の街並みや風物を伝える刊行物は一定の市場をつくっている。高齢化で主要な購買層が厚くなっているからだろう。郷愁と言えばそれまでだが、暮らしの先行きが見えづらい時代、視座を探してたどり着く先がそれぞれの過去であり、古里なのかもしれない。
 では68年後は。人工知能が暮らしの隅々まで行き渡るであろう2087年。次世代を生きる人々もまた、何かを求め過去を振り返るだろうか。「2019」をより鮮明によみがえらせるのは…。どうか、今ここにある新聞であってほしい。
(石巻総局長 今里直樹)


2019年10月10日木曜日


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