デスク日誌

チーム力

 一朝事あると、取るものも取りあえずスタートラインに立たされる。ゴールは見えないのに制限時間は割り当てられる。頼みは瞬発力と経験、そして仲間。「走りながら考えよう」。こういうとき、デスクは都合のいいことを言う。
 新聞記者をしていると、何度かこういう場面に出くわす。先日もそうだった。降って湧いた出来事。一報を受け取り、同僚と臨戦態勢を敷く。断片的な情報を集め、交換し、方向性を探る。次第に自分たちがどこに向かっているのか見えてくる。そしてゴール。
 駆け出しだった30年近く前、何かあると一人で何とかしようともがいていた。山っ気もあったのだろう。当時の記事を読み返すと冷や汗が出る。方向性がずれていたり、事実誤認があったり。新聞という商品を作るプロ意識が欠けていた。
 今、ほうほうの体でヤマを越えるたび、若い頃はあまり好きでなかったチーム力という言葉が身にしみる。間もなく東日本大震災から9年の節目。ここはみんなで腰を据えて取り組むヤマである。石巻から何を伝えよう。「走りながら−」というデスクの優柔不断を振り切って。
(石巻総局長 今里直樹)


2020年02月09日日曜日


先頭に戻る