デスク日誌

火事場泥棒

 第2次大戦でドイツが連合国に降伏し、欧州での戦いが終結して75周年の5月8日、現地の式典とロシアの話題を外信面に載せた。
 記事によると、ソ連崩壊後に民主国家を目指したはずのロシアが、ソ連時代の全体主義への批判を封印。「ナチスから欧州を解放した」との歴史観に回帰し、独裁者スターリンの再評価を進めているという。
 開戦前にポーランド分割を決めた独ソ密約に関する歴史論争や、プーチン大統領の強硬姿勢に対する国内外の憂慮が書かれていた。
 ソ連史観の復活は日ロ関係にも影を落とす。対日参戦における在留邦人への暴行と略奪、日本軍捕虜のシベリア抑留と強制労働、残留孤児などの惨禍が正当化されかねないからだ。北方領土問題の解決も遠のく。
 「ドイツの降伏に続き、日本も6月の沖縄陥落で終戦を決断すれば、北方領土を奪われなかった…」。早版のゲラ刷りを見た同僚が言った。広島、長崎への原爆投下も避けられたはず。
 3日後、検察官の定年延長を巡り、興味深い表現で野党が政権批判をした。「火事場泥棒」。伝え聞く1945年8月のソ連の振る舞いが真っ先に思い浮かんだ。(整理部次長 長内直己)


2020年06月30日火曜日


先頭に戻る