デスク日誌

記憶の継承

 地図をクリックすると焼け野原になった市街地や焼失を免れた建物の写真。体験者の生々しい証言も聞くことができる。青森空襲の惨禍を伝えるデジタル地図。データ更新を続ける青森市の男性を先日紙面で紹介した。
 地図をあちこちクリックしていたら、市民を標的にした無差別爆撃による被害をより大きくした一因に「防空法」なるものがあったことを知った。
 米軍は空襲に先立ち、青森を含む11都市のうち四つか五つの都市にある軍事施設を爆撃すると警告し、避難を促すビラを大量に投下していた。
 青森では既に青函連絡船が攻撃を受けていた。避難を始めた住民に対し、県や市は防空法を盾に「青森市に帰らなければ、町会台帳から削除し、配給物資を停止する」と通告。「非国民」となることを恐れて多くの市民が自宅に戻り、犠牲がさらに増えたという。
 記事は総局の若手2人が書いた。75年の節目としてデスクが指示したわけではなく、自発的に取材してきた。戦争の記憶を次代に残そうという問題意識を持った平成生まれの記者たちを頼もしく思った。
(青森総局長 大友庸一)


2020年08月04日火曜日


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