河北抄

 イルミネーションの競演に華やぐ仙台市の繁華街。この冬、軒先に並ぶ77張りの白い提灯(ちょうちん)がその仲間入りをした。青葉区一番町の「魅知国定席(みちのくじょうせき)花座」。
 4月にオープンした定員40人の小ぶりな寄席だが、提灯の明かりがすっかり街に溶け込んでいる。「常連さんは60歳を超えるような方々でしょうか。知らず知らず暮らしが厳しくなっていく中で、心をパッと照らす大衆演芸に癒やしを求めているようです」。花座の代表を務める白津守康さん(57)が語る。
 寄席をのぞくと、年配の女性の姿も目立つ。滑稽話のオチに体を折り曲げて腹を抱え、人情話にはハンカチでそっと目の辺りを押さえる。
 旗揚げを陰で支えたのは、7月に亡くなった名誉館長の桂歌丸師匠。「厳しい状況だからこそ、笑いが欠かせない。東日本大震災の被災地を落語で元気づけたかった」という熱い思いだった。
 まるで、世話物の噺(はなし)を地で行くような歌丸師匠の人情味。師走の街にたたずむ提灯のぬくもりが、ほのぼのと人懐っこい師匠の笑顔に重なる。


2018年12月25日火曜日


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